2012 Fiscal Year Research-status Report
歯根膜由来幹細胞を利用した造血を伴う血管新生誘導技術の確立
Project/Area Number |
24792149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大久保 直登 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 研究員 (00553207)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医療 / 血管新生 / 造血幹細胞 / 歯根膜幹細胞 / 三次元培養 |
Research Abstract |
これまでにコントロール細胞としての『A細胞』とヘマンジオブラスト様『B細胞』とを比較した網羅的遺伝子発現頻度差解析(microarray)と網羅的遺伝子メチル化解析(methylation array)により、歯根膜由来ヘマンジオブラスト様細胞における血管形成・造血幹細胞形成に関わると予想される候補キー遺伝子を複数ピックアップしていたが、その中でもB細胞において最も優位な発現頻度差を示した、ある”転写因子C”に注目した。 B細胞に対してこの転写因子Cの発現レベルを指標にその発現を効率的に向上させるような環境下でin vitro三次元培養を行うことで血管新生がより効率的に起こせることを見出した。 そこで、この転写因子Cを過剰発現させるアデノウィルスベクターを作成しさらなる解析を行なった。その結果、この転写因子Cを過剰発現させた細胞においてコントロール細胞と比較し、新生した血管構造に対する抗アポトーシス作用(Tunnel assayにより確認)と新生血管基部における血球様細胞の湧出(組織切片とタイムラプス解析により確認)が観察された。さらにこの血球様細胞がエオジン好染でさらにCD45陽性を含んでいることが判明した。 この結果を元に、造血幹細胞の維持に必須と言われるc-kit遺伝子とこの転写因子Cの発現に相関があるか検索したところアデノウィルスベクターの投与量依存的な正の相関関係が成立すること、またsiRNAによる転写因子Cのノックダウンによってc-kitの発現も低下することを見出した。血管新生を誘導できないA細胞と比べて血管新生誘導性B細胞において優位な発現を示した転写因子Cが血球系細胞の誘導にも関与していたことから、この転写因子Cは血管・血球の共通前駆細胞であるヘマンジオブラストの誘導に関わっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度のもう一つの目標であった、in vivo 解析には至らなかったが、”造血を伴う血管新生”のキー遺伝子の同定のための候補遺伝子の絞り込みを行う過程において、血管新生誘導能を持つ細胞において優位に高い発現を示すのみならずエピジェネティックなレベルでも同様の修飾を受けている転写因子Cが造血幹細胞の分化・誘導に寄与している可能性を示すデータを得られたことは、血管・血球共通前駆細胞であるヘマンジオブラストへの分化誘導の可能性につながり、”造血を伴う血管新生誘導技術の開発”という臨床応用へ向けての将来展望が開けており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は3年計画として実施されているため、今年度が初年度となる。現在注目している転写因子がヘマンジオブラストの誘導や維持に関わる可能性が示唆されたことから、今後はこの誘導メカニズムを解析することが重要となる。造血幹細胞の維持に必須と言われるc-kit遺伝子の発現誘導にこの転写因子が関わっている可能性を既に見出しておりこのメカニズムをc-kit promoter assayなどを通じて解析することをその足がかりとして、解析を進める予定である。さらに興味深いことに、我々が用いている歯根膜幹細胞は血球を伴った血管新生を誘導するが、血管新生に非常に重要と言われているVEGF receptorであるKDRの発現量が少ないことが特徴として挙げられる。そのため、この細胞にKDRを過剰発現させた時の血管新生の表現型の変化を観察することもヘマンジオブラスト誘導メカニズムの解析の大きな手がかりとなることが期待される。すでにKDR発現プラスミドは作成が完了しており、次年度はさらなる解析が進むことが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] 六君子湯による摂食不振・悪液質の改善2013
Author(s)
武田 宏司, 中川 浩治, 西村 三恵, 大久保 直登, 細野 秀崇, 浅香 正博, 武藤 修一, 大西 俊介, 坂本 直哉
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Journal Title
Jounal of Gastrointestinal Reserch 2013;Vol21 no.1
Volume: Vol21 no.1
Pages: 48-58
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