2013 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜癌の微小浸潤の客観的診断法の開発:細胞外基質分子動態のモニタリング
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24792186
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 孝憲 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00464016)
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Keywords | 口腔癌 / 初期浸潤 / 上皮内癌 / 異型上皮 / 術中迅速診断 / 再発 |
Research Abstract |
口腔粘膜扁平上皮癌・上皮内癌のヒト外科材料のHE染色切片にて病理組織学的に検討し、正常上皮・異型上皮・上皮内癌・浸潤癌を区別し、さらに異型上皮を二層性異型上皮・過正角化型異型上皮・その他の異型上皮に、上皮内癌を基底細胞型・疣贅型・棘細胞型に分類した。正常口腔粘膜上皮組織における細胞外基質分子の発現状況を確定するために、基底膜構成分子であるヘパラン硫酸プロテオグリカン(パールカン)・IV型コラゲン・ラミニン・テネイシン分子について免疫組織学的に検討した。その結果、正常上皮においては基底膜に一致して上記分子の発現が確認され、上皮層内および粘膜固有層に過剰沈着はなかった。正常上皮での発現様式をもとに境界病変を客観的に判定すると、異型上皮では増殖帯相当部においてパールカンが上皮細胞間に過剰に発現していた。また上皮内癌では、パールカンが上皮層内に過剰沈着するとともに、HE染色切片で確認された<基底膜領域の肥厚>領域に一致して上記基底膜分子の沈着が確認され、同現象が浸潤準備段階の分子生物学的変化と解釈された。いっぽう浸潤癌では、細胞外基質、とくにパールカン沈着が上皮内から周囲の癌間質細胞中に切り替わる<細胞外基質沈着領域のスイッチング現象>が免疫組織化学的に確認された。 上記結果を日常診断業務に反映するとともに臨床的意義を確認するため、2002年-2007年の口腔癌一次症例236症例について、術後の再発の有無や経緯を検索し、再発と切除断端の露出病変との関連、特に術中迅速診断の意義について調査した。その結果、再発例が全体の約20%におよび、それらの切除断端には上皮内癌や中等度異型上皮が約7割で露出していること、さらに術中迅速診断においてこれら悪性境界病変を精確に診断することにより再発率が抑制できることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)