2012 Fiscal Year Research-status Report
グリアをターゲットとした口腔顔面の神経障害性疼痛治療法の開発を目指した基礎研究
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24792259
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 郁子 日本大学, 歯学部, 助手 (60459906)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 三叉神経損傷 |
Research Abstract |
本研究は、三叉神経損傷モデルラットを用いて、Vcの活性型グリア細胞がいかなるメカニズムでVc神経細胞活動の増強に関与するかを明らかにすることを目的とした。 三叉神経傷害性疼痛モデルラットを用い、神経損傷後に誘導されるアストログリアおよびミクログリア活性化の経時変化について、アストログリアのマーカーである抗GFAP抗体およびミクログリアのマーカーである抗Iba1抗体を用いて免疫組織学的手法により検索した。さらに、グルタミン-グルタミン酸シャトル阻害薬の髄腔内投与によるGFAP陽性細胞数の変化を解析した。口髭部への機械、熱および冷刺激に対する逃避閾値は、三叉神経損傷後1日目に有意に低下し、14日以上持続した。アストログリアの活性化は、Vc領域において神経損傷後7日目に観察され、ミクログリアの活性化は、神経損傷後3日目および7日目において観察された。さらに、グルタミン-グルタミン酸シャトル阻害薬の髄腔内投与によりGFAP陽性細胞数は有意に減少した。 以上の結果から、三叉神経損傷によりVc領域のグリア細胞が活性化し、グリア細胞と神経細胞間の情報伝達系であるグルタミン-グルタミン酸シャトルを介して神経細胞活動を増強する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した目的に沿って、研究は順調に進んでいると考えられる。 次年度は、神経損傷後のグリア細胞の活性化が、いかなるメカニズムで神経細胞活動を変調するのか行動学的、電気生理学的に検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、三叉神経損傷後のグリア細胞と神経細胞間の情報伝達機構について明らかにするために、以下のように研究を進める予定である。 ①グルタミン-グルタミン酸シャトル阻害薬を髄腔内投与し、口髭部に機械および熱刺激を行い逃避行動閾値を測定する。 ②三叉神経障害性疼痛モデルラットの侵害受容ニューロン活動に対するグルタミン-グルタミン酸シャトル阻害薬投与の効果について解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品が、試算より安価に入手できたために生じた前年度残金(13,807円)と合わせて、三叉神経損傷モデル作製のための実験動物(ラット)、および試薬や実験器具の購入が必須となる。また、研究の成果発表のための国内外学会への参加のために旅費を申請する必要があると考えられる。
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