2012 Fiscal Year Research-status Report
新規エナメル芽細胞マーカーSox21は歯原性上皮細胞の分化を調節するのか?
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24792294
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 幹 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40380852)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エナメル質形成不全 / 発生 |
Research Abstract |
Sox21がエナメル芽細胞特異的に発現していることから、Sox21がエナメル質形成に影響を与えていると推測した。そこで初年度はSox21KOマウスを用いて、歯の形態を組織学的に観察することにした。 生後2日目のSox21KOマウスの歯胚をヘマトキシリン・エオシン染色したところ、未分化エナメル芽細胞では影響がほとんど見られなかったが、細胞分化終末の成熟エナメル芽細胞では細胞極性が失われ、エナメル質が減形成されていることが判明した。また、生後6週目のマウスでは成熟エナメル芽細胞の形態が不規則になり、波状に配列することによってエナメル質も同様に波状に形成されていた。そこで、生後6週目の歯を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、エナメル表面が多孔性構造となっていた。また、リン酸処理を行った断面を観察したところ、野生型では規則的なエナメル小柱構造が確認できるにもかかわらず、Sox21KOマウスではエナメルが薄く、更にエナメル小柱構造が失われていることが分かった。更にMicroCTにて生後6週目の歯の石灰化を評価したところ、象牙質の石灰化にはほとんど差が見られなかったのに対し、エナメル質は約1/10に減少していることが判明した。このことから、Sox21KOマウスではエナメル質形成不全が見られ、その原因はエナメル芽細胞の配列異常により、規則的なエナメル質形成が阻害され、不規則な結晶構造を持つためであると推測できる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学を移転したため、本研究を行う上で、新たに遺伝子組み換え実験および動物実験の申請書を作成する必要があり、申請書作成に大幅に時間を費やした。 また、本研究対象である遺伝子組み換えマウスの飼育を移転先の大学で再び立ち上げる必要があり、更に現在マウスが手に入らないため、進行が遅れている
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Strategy for Future Research Activity |
前半はマウスの移動と繁殖を行う。また、並行してSox21を発現していない未分化エナメル上皮細胞株を使用してSox21を過剰発現させることにより、どのような影響が出るかを検討する。後半はマウスから歯胚を回収してmicroarrayを行うことにより、エナメル質形成不全になった原因遺伝子の候補を絞り込む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会発表は小児歯科学会および国際学会を検討している。 また、研究はmicroarryやマウス飼育関連以外に一般的な細胞培養試薬、抗体関連試薬などを考えている
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