2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24792342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
菊池 毅 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40421242)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 歯周免疫機能学 / 糖尿病 / 炎症性骨代謝 |
Research Abstract |
糖尿病は歯周疾患の発症及び進行に影響を及ぼすと考えられている。しかし,両疾患の関与機序に関する詳細なメカニズムは,推論の域を出ていない。今回,高血糖状態が歯周組織における炎症反応を調節し,歯槽骨破壊を促進していると考えた。そこでII型糖尿病モデルマウス(ob/obマウス)由来骨芽細胞を高血糖状態で歯周病原細菌菌体成分と培養し,炎症性骨代謝の機序に関して検討した。骨芽細胞よりtotalRNAをグアニジンを用いて抽出し,Real-time PCR法を用いて骨吸収に関連するIL-1, IL-6, TNF-a, INF-gamma,M-CSF,RANKL, RANK, OPGの遺伝子発現量の測定を行った。また,骨分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ,オステオカルシン,オステオポンチン,骨シアロタンパク(BSP)の遺伝子発現量の測定を行った。さらに,骨芽細胞の形成に重要な転写因子であるcbfa-1の遺伝子発現量の測定を行った。 これら遺伝子の中で、TNF-aの発現増加傾向とOPGの発現低下傾向を高血糖下ob/obマウス由来骨芽細胞に認めた。ELISA法を用いて,骨芽細胞培養上清中の骨吸収に関連するIL-1, IL-6, TNF-a, INF-g,M-CSF,OPGのタンパク産生量の測定を行った。また,骨分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ,オステオカルシン,オステオポンチン,骨シアロタンパク(BSP)のタンパク産生量の測定を行った。これら因子の中で、TNF-aの産生増加傾向とOPGの産生低下傾向を高血糖下ob/obマウス由来骨芽細胞に認めた。以上から,高血糖状態は、骨芽細胞に影響を与え、歯周病原細菌菌体成分に対する反応性を調節している可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病の状態を細胞培養条件に反映するため、培地中の血糖量を調節して実験を行っている。しかし、血糖量の違いを極端にすると結果に差は出易いと思われるが、生体の状態を反映するのが困難になる。設定値を見直しながら実験を進めている。また、終末糖化産物(AGE)の添加による糖尿病状態の反映を模索しながら、実験条件の適正化を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
高血糖状態の設定に関し,必要あれば血糖量の再設定を行う。同時に,終末糖化産物(AGE)を使用し、高血糖患者で増加しているAGEの存在下でのLPS刺激による反応性の違いについて検討する。また,同学内科学講座と連携し,実験結果について意見を仰ぎ,必要に応じて実験計画の修正を加える。実験の遂行に関しては当講座の大学院生より協力を得ている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高血糖状態でのLPS刺激による破骨細胞の分化,活性化に関する検討を行う。8週齢のob/obマウスの長管骨より骨髄細胞を取り出し,同マウス頭頂骨より採取した骨芽細胞と6日間LPS刺激にて共培養する。培養条件を二群に分け,高血糖量と通常血糖量を含んだ細胞培養液でそれぞれ培養する。歯周病原細菌A.a, P.g由来LPSにて刺激を行い,反応性を検討する。共培養終了後,TRAP染色にて多核の破骨細胞形成数を測定する。ELISA法を用いて,共培養3日目,6日目の培養上清中の破骨細胞形成に関与するIL-1, IL-2,IL-4,IL-6, IL-10, IL-17,TNF-α, IFN-γ, RANKL, OPGのタンパク産生量の測定を行う。共培養時に細胞とともに象牙片を培養皿に入れ,共培養終了後,象牙片をヘマトキシリン染色し,骨吸収窩を測定する。破骨細胞調節因子の同定:増減のみられた因子の中和抗体またはリコンビナントを加え,その因子の破骨細胞調節能を判定する。 RAW264.7細胞を用いた高血糖状態でのLPS刺激による破骨細胞形成への影響を検討を行う。RAW264.7細胞の培養条件を二群に分け,高血糖量と通常血糖量を含んだ細胞培養液でそれぞれ培養する。歯周病原細菌A.a, P.g由来LPSにて刺激を行い,反応性を検討する。LPS刺激による破骨細胞の形成に重要な転写因子であるNF-kBおよびAP-1の発現レベルをゲルシフトアッセイにより測定する。LPS刺激による破骨細胞の形成に重要な細胞内伝達経路であるTRAF-2,TRAF-6のタンパク発現レベルをウエスタンブロット法により測定する。また,p38, ERK, JNKのリン酸化レベルをウエスタンブロット法,キナーゼアッセイ法により測定する。
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