2014 Fiscal Year Annual Research Report
骨転移患者に対する疼痛緩和を目的とした移動・移乗方法の探索
Project/Area Number |
24792407
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
三宅 由希子 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (60433380)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 看護学 / 移乗 / 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の人力による移乗介助方法(以下、人力移乗)と、持ち上げないリフトを使用した移乗介助方法(以下、リフト移乗)とを比較し、骨腫瘍患者に対する疼痛緩和を目的とした移乗方法の検討を行った。まず、健常者を対象に検証した結果、移乗に要する時間は、リフト移乗では人力移乗での約6倍の時間を要した。移乗時に接触面にかかる圧力は、リフト移乗では人力移乗に比べて被介助者の身体の局所に集中的な圧がかからないことが示された。また、リフト移乗では人力移乗に比べて移乗に伴う被介助者の生理学的指標(血圧・脈拍)の変化は少ないことがわかった。リフトを用いることで、被介助者の急激な体勢変化を避けることが可能となり、穏やかな動きにより被介助者の身体が徐々に変化に適応することが考えれられた。 次に、骨腫瘍のある患者を対象として検証した結果では、リフト移乗は人力移乗に比べて痛みを増強させることはなかった。スリングシートで体を包み込み移乗することにより、安心感を得られていた。また、骨腫瘍のため、下肢の脱力や麻痺による転倒の可能性がある患者にとって、安全な移乗となり得ることがわかった。人力の移乗では、移乗そのものに介助者の力が必要となるが、リフト移乗では、移乗中の患者の表情を観察する、コミュニケーションをとる、疼痛部を支えながら移乗することがが可能となり、疼痛軽減につながると考えられる。 今後、リフト移乗に適応する対象者を明らかにすることや、介助者のリフト操作技術の向上が実用性を高めるための課題として挙げられる。
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