2013 Fiscal Year Annual Research Report
看護技術における「わざ」の解析 熟練看護師と初学者の手の使い方に焦点をあてて
Project/Area Number |
24792409
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
明野 伸次 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (40364260)
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Keywords | 看護技術 / わざ / 熟練 / タッチ / 触れる / 安楽 / 手 / 可視化 |
Research Abstract |
本研究は、看護師の行為によって対象者が感じる「手がやさしい」「身体をあずけられる」というような感覚をもたらす、手の使い方に注目した「わざ」の解析を目的とする。平成25年度は、以下の内容を実施し成果を得た。 対象者は、臨床経験5年以上の看護師9名と看護学生10名であり、仰臥位から側臥位への体位変換の行為において、手指・手掌の使っている部分とその順序、および接触部位の強さを抽出した。患者役は65歳以上の研究協力者2名である。データ収集にあたってはワイヤレス触覚測定システム(PPS 社 Finger TPS)を活用し、左右の末節骨部5箇所(指先)と手掌1箇所(短小指屈筋部付近)の合計12箇所にセンサを取り付けた。同時に付属のカメラで実施映像を撮影した。また、患者役の主観的評価はVisual analog scale (VAS)を、生理的評価は心拍数を測定した。手指・手掌における接触部位の強さおよび患者役の主観的評価と生理的評価を比較した。 結果、仰臥位から側臥位への体位変換の行為で、「頭部を持ち上げて枕を向く側にずらす」、「膝を立てて側臥位にする」、「左右の腸骨を支持し、上側の腸骨を手前に引き下側の腸骨を向こう側に水平に動かす」において、看護師と看護学生の手指・手掌における接触部位の強さに差があった。手指・手掌の使っている部分と接触部位の強さの傾向としては、看護師、看護学生共に指先を多く活用するが、看護学生の方がどこか一部の強さが高い傾向にあった。患者役の主観的評価と生理的評価では、VASは看護師の行為と比べ学生の行為の方が有意に苦痛が強かったが、心拍数は有意差を認めなかった。 以上から、熟練看護師は、指先を使わないのではなく、指先の限局した部分を接触面として維持せずに、行為のプロセスにおいて指先や手掌などの接触面を変えながら対象者の安楽さを保っているものと考えられた。
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