2012 Fiscal Year Research-status Report
地域における包括的ストレスマネジメントとヘルスケア・アートプログラム
Project/Area Number |
24792563
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
長谷川 珠代 宮崎大学, 医学部, 講師 (30363584)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 専門職ストレス対処能力 |
Research Abstract |
医療・福祉専門職のストレスとストレス対処方法実態調査に関しては、宮崎大学医学部医の倫理委員会に研究倫理申請を行い、平成25年度調査実施に向けた体制づくりを行った。また専門職のセルフメンテナンス能力向上を目指したプログラム(HCAP2)の開発と実践に向けたヘルスケア・アートイベントを実践した。 地域在宅医療を支える重要な役割を担っている訪問看護ステーションに焦点を当てて実施した。看護スタッフの『訪問看護を利用してる子ども達と家族に楽しい思い出の機会をつくってあげたい』という日頃感じていることを実現すべく、音楽を中心とした夏祭り形式のイベントを開催した。訪問看護を利用している在宅療養患児と関わる中で、訪問看護師は『子ども達が社会を触れ合う機会が作りたい』『兄弟児達が家族で楽しめる機会が欲しい』などの思いを抱いていた。特に長期の休みに入ると、利用者家族のストレス増加を感じており、訪問看護対象家族に対する思いが高まることが訪問看護師の『何とかしたいけど、できない』というストレスに繋がっていることを把握した。 そこで、訪問看護を利用している人々を対象としたイベントを共同実施するという形で、看護学科学生を協力者とし、訪問看護師と共にイベントを企画・運営した。その結果、訪問看護ステーションスタッフからは、イベント内容の充実、企画・運営を共同実施した事によって得られた安心感、看護師自身が参加者と一緒にイベントを楽しむ余裕の出現等、肯定的な意見が聞かれた。共同開催の形をとったことが、看護師の「患者家族のためにできた」という満足感を得ることに繋がったと考える。参加者として受動的にイベントに参加するのではなく、企画・運営者として能動的にイベントに参加するということが、HCAP2として有効なのではないか、という示唆を得ることができた。 また、これらの活動を学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実態調査に関しては、調査の実施まではできなかったものの、倫理審査が承認されれば調査実施に向けて動ける体制は整えることができた。 海外視察に関しては、実施に向けた調整を進めていたが、調整・指導を請け負って下さっていた方にトラブル(健康上)が発生したため、現在のところ実施に向けての調整を保留している。今後は、他の手段(研修場所の変更、新たな調整役の依頼など)を検討し、次年度以降に実施できるようにする。 平成25年度以降に実施する予定であったHCAP2開発に向けたケア・イベントの実施を前倒しで実施することができた。それにより、HCAP2開発に向けた示唆を得ることができたため、継続的な実施が可能となり、次年度以降の実施が円滑に行える状況をつくることができた。 以上のことより、進捗状況は「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
①医療・福祉の専門職に対するストレスと対処方法実態調査の実施に関して、専門職のストレス対処方法に関する文献検索等行った結果、これらを調査した研究は殆どみられなかった。このことから、まずストレス対処として取り入れている方法について内容や頻度など、詳細を把握することから開始することとした。また専門職自身の認識(捉え方)を明確にする必要があると考え、面接調査を用いた質的な研究方法にて実態を明らかにする。 ②専門職版ヘルスケア・アートプログラムの開発に向けた海外視察に関しては、新たな研修場所や調整役の調整などを念頭におきながら活動する。そのために世界的動向(実態等)を広い範囲で把握するため、Art in Healthcare(国際学会)などを通して動向を把握し、海外視察の範囲を広げて検討し、調整を行う。 ③専門職版ヘルスケア・アートプログラム実施と評価については、平成24年度に得た示唆を基に、継続的に実施することでプログラム内容を精選していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は以下の内容に関して研究費を計画的に使用する。 1.医療・福祉の専門職に対するストレスと対処方法実態調査を実施し、それに伴う調査準備費用や謝金、旅費等に使用する。 2.専門職版ヘルスケア・アートプログラム(HCAP2)の開発と実践・評価として、A訪問看護ステーションを協力施設として実践する。その際、イベント実施のための物品購入費用や内容によって施設借用のための費用等として使用する。 3.専門職版ヘルスケア・アートプログラム(HCAP2)の開発に向けた海外視察の実施に向けて、まずは調整場所や実施に向けた調整役の依頼等を調整していく。 4.本研究の評価あるいはプログラム内容の精選に向けて意見を得るため、研究実践を広く学会等で報告していく。そのための旅費や学会参加費などとして使用する。
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