2013 Fiscal Year Research-status Report
地域における包括的ストレスマネジメントとヘルスケア・アートプログラム
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24792563
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
長谷川 珠代 宮崎大学, 医学部, 講師 (30363584)
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Keywords | 専門職ストレスの実態調査 / ストレス対処法の活用 / ヘルスケア・アートプログラムの有効性 |
Research Abstract |
病院勤務をしている看護師を対象に、医療・福祉専門職のストレスとストレス対処方法に関する実態調査を実施した。特に人間関係(上司や部下との関係)、時間管理、業務バランスに関するストレスが示された。それが自己評価や自分の看護に対する肯定感に影響を及ぼす可能性が示唆された。また、何らかのストレス対処方法があると回答した者が多く、それによりストレスを受けている状態と解消のバランスをとっていた。しかし、その方法を用いても対処することができないストレスを実感していたり、対処方法を実施する時間的、精神的余裕がないという回答も示され、専門職へのケアの必要性が示唆された。一方で「ストレスを感じることはない」と回答している者もあり、今後は質的な調査方法を用いて要因を明らかにしていく。また今回明らかになった結果を平成26年度に学会発表予定である。 専門職版ヘルスケア・アートプログラム(HCAP2)については、平成24年度に把握した専門職に対するプログラムへの示唆(能動的実践機会を提供する)を基に、訪問看護師を対象としたプログラムを実施した。訪問看護師とともに、ファッションショーを取り入れた訪問看護を利用している児と家族を対象としてイベントを企画した。ファッションショーを取り入れたことで訪問看護を利用している児と家族に”スポットライトが当たる瞬間””主役になれる瞬間”を提供することができた。訪問看護師は、この機会で、訪問看護を提供する対象児や家族が、家で見る顔と違う一面を知る機会となっていた。そのことが普段の業務の中で抱く『レスパイトの機会を作りたい』という思いを昇華し、ストレスの緩和に有効であったことと示唆された。今後も実践を積み重ね、有効な方法を増やしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケアを必要とする人や介護者への倫理的な配慮や障害者福祉法の改正に伴う社会福祉に関連する研修会等に参加し、研究対象者を取り巻く社会的な動向理解に努めた。 HCAP2に対する客観的な評価、助言を得る機会を調整できなかったが、平成26年度にオーストラリアにてケアする人へのアートを用いたケアを実践している方々やケアする人のケアを行っている方から助言を頂く予定になっている。 医療・福祉専門職のストレスとストレス対処法に関する実態調査とHCAP2は地域包括支援センター職員を対象に平成26年度に引き続き実施予定である。さらに、これまでの調査結果を整理し、質的調査によって結果を深めていく。 さらに訪問看護師と訪問看護を利用している小児と家族を対象にしたHCAPを引き続き実施するため調整を行っている。 以上より、当初の計画と比較し、遂行年度が前後してはいるが、平成25年度までに実施する計画内容については実施できたと判断し、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.医療福祉専門職に対するストレスとストレス対処法に関する実態調査は対象を広げて実施し、把握できた内容を深めるため、質的調査を並行して実施する。 2.HCAP2の実践を行い、内容の検討を継続する。また訪問看護師とのイベント企画を継続して経年的な結果を整理し、内容を評価する。対象を広げて実践し、対象による相違を整理し、HCAPの中心プログラムを完成する。 3.オーストラリアにてケアする人のケアおよびアート用いたヘルスケアを実践している方々と意見交換を行い、HCAP2の円滑な実施に向けた助言を得る。さらに国際的な動向を把握し、プログラムに反映させる。 4.これらの成果を学会等で報告し、多角的な示唆が得られるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内外でケアする人のケアおよびアートを用いたヘルスケアを実践している方からの指導助言を得るため旅費・研修費について、研修調整ができず、実施を翌年度に繰り越したため、当初計画していた支出がなかった。また、HCAP2の実施において会場として大学施設を使用したため会場費等の支出がなかった。以上のことより、次年度使用額が生じた。 国内外でケアする人のケアおよびアートを用いたヘルスケアを実践している方からの指導助言を得るため、オーストラリア研修費用および国内研修費用、助言者旅費として使用する。またHCAP2について2回以上の実施を計画しており、会場費、協力謝金を含めた実施費用として使用する。学会報告を実施するため、その参加費および宿泊旅費として使用する。
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