2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24800082
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
吉田 悠一 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 助教 (50636967)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | 同型性判定問題 / 性質検査 / 近似アルゴリズム / スペクトル解析 / 国際情報交換(アメリカ合衆国) |
Research Abstract |
本研究の目的はグラフ及び関数の同型性判定問題を近似手法によって解析を行うことである。本研究では近似手法として性質検査と近似アルゴリズムという二つの手法を想定している。性質検査では二つの入力が同型であるか同型から遠いかを入力サイズに依らない定数時間で区別したい。近似アルゴリズムでは二つの入力が殆ど同型である時に、(最適な写像より少し悪い)殆ど同型な写像を求めたい。スペクトル解析を軸にこれらの問題を解析するのが本研究の主題である。 性質検査における当該年度の目標は「gとの同型性が定数時間で検査可能な関数g:{0,1}^n->{0,1}の必要十分条件を得る」ことであった。ここで同型の定義として候補が二つ考えられるが、本年度はある可逆な行列Aが存在してf(x)=g(Ax)と表現できるときfとgを同型と見なす設定を考えた。この設定については上の目標を実際に達成することに成功し、その必要条件とは「gのスペクトルノルムが定数で有ること」である。この成果はヨーロッパのトップ会議ICALP'13で発表予定である。 近似アルゴリズムにおける当該年度の目標は「最小線形配置問題や最大有向無閉路グラフ問題にスペクトル解析を用いること」である。これも実際に達成することができ、グラフのスペクトラムとそのグラフに対して得られる近似度の関係を示すことが出来た。特に最小線形配置問題では「正規化した隣接行列において、固有値が1に近いものが少なければ、それはよく近似出来る」ということを示した。この成果は国際会議APPROX'12において発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目標として申請書に記載した内容は「gとの同型性が定数時間で検査可能であるような関数g:{0, 1}^n -> {0, 1}の必要十分条件」を得ること、そしてスペクトル解析を最小線形配置問題や最大有向無閉路グラフ問題に活用することであった。研究実績の概要で示している様に、この二つの目標をともに実現し、それぞれ国際会議に受理されている。また当初の予定とは異なるが、前者はデュケイン大学の研究者との共同研究であり、国際的な共同研究を行うという目標も達成できた。よって、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の目標は「Hとの同型性が定数時間で検査可能であるようなグラフH の必要十分条件を得る」こと、「グラフ間の距離d(G, H )の近似にスペクトル解析を用いる」こと、そして「グラフや関数の性質と、対応する同型性判定問題の計算複雑性の間のトレードオフ」を得ることである。これらは既に研究に取りかかっているので、それを引き続き進めていく。
|
Research Products
(19 results)