2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工・天然抗菌物質を組み合わせた口腔感染制御システムの新規開発
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24890134
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊東 孝 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30636238)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔内感染症 / 糖鎖 / 多糖 |
Research Abstract |
人工物であるリン酸化プルラン,および天然物であるレクチンの2つのマテリアルを併用することにより,最適な口腔内感染制御システムとしての組み合わせの知見を集積することを目的とした。24年度は相互作用の解析を中心に,天然レクチンの効果・効能の範囲確認と生体環境に則した条件での検討を行った。 天然物由来レクチンの介在によるリン酸化プルランへの阻害作用の有無を確認する必要がある。予備実験において肉眼的な干渉作用はなかった。分子レベルでの検討を行うために,バインディングアッセイを用いてリン酸化プルランによるマッシュルームレクチンの唾液成分への吸着に対する阻害の有無を検討した。結果,0.01%リン酸化プルラン-0.01%CPC溶液中ではマッシュルームレクチンの唾液成分への吸着が阻害されていることを確認したため,添加物および適応方法の工夫で効果的な組み合わせを検討する。 マッシュルーム等の天然レクチンに関しては,本年度に供与されたStreptococcus mutansの2菌株におけるバイオフィルム抑制効果を確認した。この成果によって当該マテリアルの効果効能を確定的にしただけではなく,さらに有効なレクチンを発見する事ができた。本研究の成果は第98回アメリカ歯周病学会共催日本歯周病学会2012年大会(2012年9月29-10 月2日)で発表済みである。 25年度の計画である生体環境に則した条件での検討に関しては,実験系の確立からスタートするため,本年度から先行して検討を開始した。具体的にはバイオフィルム観察キットを用いてのバイオフィルム形成条件の検討および評価方法の検討を行った。口腔内細菌に最適な灌流速度および培地の条件は既に決定しており,現在共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察によってバイオフィルム形成阻害効果の評価ができるように染色条件等の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相互作用の解析の結果,リン酸化プルランと天然レクチンは分子レベルでの相互干渉作用が示唆されたため,現在添加物もしくは適応方法の工夫で最適な効果効能を示す条件を検討中である。今後は添加物および適応方法の条件を従来のバイオフィルム抑制効果で評価する事でスクリーニングをする。25年度に計画している生体環境に則した条件での検討は最終的に効果効能を確定させる,中心となる評価方法である。本実験系における条件設定,および評価方法の検討は先行して順調に進展している。また,マッシュルーム等の天然レクチンに関しては,本年度に供与されたStreptococcus mutansの2菌株におけるバイオフィルム抑制効果をさらに確認した。この成果によって当該マテリアルの効果効能を確定的にしただけではなく,さらに有効なレクチンを発見する事ができた。 以上の点から,達成度としては順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
最適な口腔内感染制御システムとしての組み合わせの知見を継続して集積する。 平成25年度は添加物もしくは適応方法の工夫によって最適な効果効能を示す条件を検討する。具体的にはStreptococcus mutans標準株を用いた従来のバイオフィルム抑制効果の評価方法を中心に,干渉作用を阻害する添加物もしくはターゲットに対して薬剤を順次作用させるような適応方法の工夫を検討していく。 さらに新規に発見できた天然物由来レクチンやその他のマテリアルの応用も予備的に検討していきたい。 最終的に,上記で検討された項目を実際の生体環境に則した条件で効果効能の確認を行う。具体的にはバイオフィルム観察キットを用い,共焦点レーザー顕微鏡での観察によってバイオフィルム抑制効果を評価する予定である。
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