2012 Fiscal Year Annual Research Report
NKT細胞免疫療法におけるIDOによる免疫制御機構の解明と病態解析
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24890270
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
星 雅人 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助教 (40633996)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | IDO / α- ガラクトシルセラミド / トリプトファン代謝 / 腫瘍 |
Research Abstract |
腫瘍細胞に対するNKT細胞等の細胞性免疫を強力に制御し、周囲免疫から逃避させることで注目されているindoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)に着目し、マウスリンパ腫モデルにおけるNKT活性リガンドであるα-GalCerの効果と、IDO誘導によるリンパ腫細胞に対するNKT細胞の免疫制御機構の解明を行った。 ①α-GalCer投与により、野生型マウス脾臓、リンパ節においてIDOの発現・活性が認められた。 ②野生型マウスおよびIDO-KOにLP-BM5ウイルスを投与し、リンパ腫発症後α-GalCerを投与したところ、WTではα-GalCerによる抗腫瘍効果が認められなかったが、IDO-KOでは腫瘍を排除でき、生存率が有意に延長することが解った。また、病理組織所見からIDO-KOでは転移巣において腫瘍が排除されていた。 ③IDO阻害剤である1-MTを使用し、②同様の実験を行ったところIDO阻害剤を経口投与した後にα-GalCerを投与した群では阻害剤未投与野生型マウスと比較し腫瘍の排除と生存率の延長を認めた。 すなわち、α-GalCerによる腫瘍に対する作用の違いはIDOが深く関与していることが明らかであり、次年度以降ではIDO活性により生じるトリプトファン代謝産物が、本免疫機構をどのように調節しているのかを明らかにしていく。また、新規NKT活性リガンドおよびIDO阻害剤を使用し、より副作用の少ない効果的な投与法を明らかにし、他の腫瘍における効果の判定とメカニズムの解明を遂行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画として、①ウイルス誘発性リンパ腫モデルの作製とマウス、②リンパ組織におけるIDOの発現・活性、③腫瘍に対するα-GalCerの効果判定および④α-GalCer投与によるトリプトファン代謝産物、サイトカインおよびNKT細胞の経時的変化を予定していた。①~③は達成しており、④に関しても一部データはすでに解析済みだが、液体クロマトグラフィーによるトリプトファン代謝産物の測定が未達成である。機器や必要試薬はすでに準備済みであり、速やかに解析する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの結果を踏まえ、①α-GalCer刺激によるIFN-γ産生細胞数およびCTL誘導による細胞障害性試験、②α-GalCer刺激によるCTL誘導に及ぼすトリプトファン代謝産物の影響を解析する。さらに、主として行うウイルス誘発性リンパ腫以外に、現在までに報告のある他の腫瘍モデルについての効果を解析する。臨床応用も視野に入れ、α-GalCerの投与方法(静注、臓器注、皮下注及びα-GalCerで刺激した樹状細胞の投与等)及び他のNKT活性リガンドの評価と複数のIDO阻害剤別にみた効果についても検討を行い、より効果的な薬剤を明らかにする。上記課題を迅速に実施し、学術的価値の高い雑誌に投稿することを目指す。
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