2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25220001
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹村 彰通 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10171670)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 信毅 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30188099)
日比 孝之 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80181113)
|
Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
|
Keywords | 統計的推測 / 計算代数統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では多くの重要な成果が得られた.特にマルコフ基底の複雑性に関する成果,及び多変量解析の分布論の無線通信分野への応用である. マルコフ基底の複雑性に関しては,まず斉時マルコフ連鎖モデルに関するマルコフ基底に関する結果がある.このモデルの一般的な解析は非常に困難であるが,状態数が少ない時は解析が可能である.特に状態数が3の場合にはマルコフ基底の複雑性に関する重要な指標であるマルコフ次元,すなわちマルコフ基底の要素の最大次数,に関する結果を導出することに成功した.この場合にはマルコフ基底を定める配置行列が生成する多面錐の構造を明示的に決定し,それを用いてマルコフ次元が6以下であることを示した.次にバーコフモデルというランキングの統計モデルに関する結果がある.このモデルのマルコフ基底については,10年程前からマルコフ次元が3であるという予想がたてられていたが,長い間未解決問題であった.この問題に関して,ラテン方格に関する既存の結果を応用することで,マルコフ次元が3であるという予想を肯定的に解決することに成功した. 他の重要な成果として無線通信分野の理論的研究がある.無線通信分野では複素多変量正規分布や複素ウィシャート分布に基づいて通信方式の性能評価がおこなわれているが,統計研究者と無線通信研究者の間の連絡があまりない状況が続いていた.本研究では無線通信分野の研究者である Siriteanu 氏と共同で,無線通信における "zero forcing detection" とよばれる通信方式の統計的な性能を研究し成果を得た.その成果は非心複素ウィシャート分布の逆行列の分布関数に関係するもので,複素ウィシャート分布の代数的な性質を用いて統計的な性能を超幾何関数を含む明示的な式により表した. その他,多腕バンディット問題に関するトムソンサンプリング方式の最適性に関する成果を得た.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算代数統計の二つの重要なトピックであるマルコフ基底およびホロノミック勾配法の両面において新たな成果を得つつあり,研究は順調に進展している.マルコフ基底に関しては,ファイバーの族が定義するマルコフ基底の族に関する研究が進展中である.またホロノミック勾配法に関しては,指数分布を拡張した分布族に対するホロノミック勾配法や,正規分布のもとでの歪度の統計量の分布に関するホロノミック勾配法に関する研究成果をすでに得ている.
|
Strategy for Future Research Activity |
無線通信分野への多変量解析の理論の応用,特にホロノミック勾配法の応用は,無線通信分野という実用上の観点からも理論的な成果の応用が期待できるため,今後この方向への展開を推進していく.また古典的な多変量解析の難問である行列変数の超幾何関数に対するホロノミック勾配法については既に2013年に結果を得ているが,これをより複雑な問題に拡張していく.
|
Research Products
(16 results)