2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25220001
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
竹村 彰通 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 教授 (10171670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 信毅 神戸大学, 理学研究科, 教授 (30188099)
日比 孝之 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80181113)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 数理統計学 / 代数統計学 / グレブナー基底 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホロノミック勾配法に関する具体的な研究成果としては、分割表で周辺頻度を固定した場合の一般化超幾何分布に関して、基準化定数及び指数型分布族としての期待値パラメータに関する性質の評価とその数値的応用が挙げられる(Takayama, Kuriki and Takemura, "A-Hypergeometric Distributions and Newton Polytopes", arXiv 1510.02269)。これにより、一般化超幾何分布分布の最尤推定にかおける速度と精度の向上が得られた。また、統計学以外への応用としては、無線通信分野における多入力多出力系(MIMO, Multiple Input Multiple Output)の復号方式の性能評価へのホロノミック勾配法の応用があげられる。無線通信分野の統計的性能評価では、複素多変量正規分布や複素ウィシャート分布が用いられるが、ホロノミック勾配法によって、非心パラメータ行列がランク1の場合についてSN比の分布の数値的評価が可能となった(Siriteanu, Takemura, Koutschan, Kuriki, Richards and Shin, "Exact ZF Analysis and Computer-Algebra-Aided Evaluation in Rank-1 LoS Rician Fading", arXiv:1507.07056)。この他、統計的多変量解析における古典的な重要な課題である行列変数の超幾何関数の満たす微分方程式系や差分方程式系と、それに基づくホロノミック勾配法についても進展が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心課題であるホロノミック勾配法に関しては、研究実績の概要に見るように研究が順調に進展している。この方法の有用性は広く認識されるところとなり、竹村はホロノミック勾配に関する業績により日本数学会2015年度解析学賞を受賞した。また分担社の高山信毅を中心とするホロノミック勾配法のRのパッケージ化の作業も進んでおり、すでに公開されている。従って、研究は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ホロノミック勾配法の研究においては、多変量正規分布のもとでの標本分布論として古典的な重要性を持つ行列変数の超幾何関数の数値計算の研究をさらに進める。無線通信分野への応用については、これまで研究を進めてきたZF(zero-forcing)復号方式に加えて、beamforming とよばれる復号方式を含め、さまざまな複合方式の性能解析にホロノミック勾配法を適用する。さらにARMAモデルなどの時系列解析の手法について計算代数的観点から考察し、有理関数モデルであるARMAモデルをホロノミック関数の観点から拡張したモデルについて、自己相関関数や偏自己相関関数の挙動を研究する。
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Research Products
(11 results)