2014 Fiscal Year Annual Research Report
In vivo, in situ突然変異検出系を用いた環境および放射線リスク評価
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25220102
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
野田 朝男 公益財団法人放射線影響研究所, 遺伝学部, 副部長 (40294227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 章 茨城大学, 理学部, 教授 (20188262)
三谷 啓志 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (70181922)
濱崎 幹也 公益財団法人放射線影響研究所, 遺伝学部, 研究員 (80443597)
藤堂 剛 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90163948)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 突然変異 / GFP / in vivo / 組織幹細胞 / 放射線 / リスク評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、放射線や環境変異原の暴露によりモデル動物体内で生じる突然変異細胞をライブでとらえて観察し、個体レベルでのリスク評価に用いることを目標としている。突然変異細胞が組織の中で生きたまま光る(GFP蛍光等を発する)システムをマウスとメダカで作製し、さらにはその発展型として、体細胞でのLOHにて起こる発がんをライブでとらえるシステムをメダカでつくることを目指している。マウスにおいては復帰突然変異にて細胞がGFP陽性になる系(HPRTdupGFPマウス)が確立し、次のステップとしてがん抑制遺伝子に変異が起こると体細胞が生きたまま光る(GFP陽性となる)マウスシステム開発も行った。これについては候補マウスが誕生し始めている段階である。以上の結果から、個体レベルにおいて、組織・器官の構造を完全に把握しつつ、体細胞突然変異の発生と変異細胞の広がり(増殖)を観察できる(つまり本研究の主題であるin vivo, in situで突然変異細胞を見る)システムが達成されつつある。このシステムを用いて、組織幹細胞の突然変異頻度を見ること、変異細胞の全ゲノム解析を行うこと、さらには組織幹細胞と機能分化細胞の突然変異頻度・発生様式の違いを解析する実験段階に入った。全体の研究を統括して、個体レベルでの体細胞突然変異の発生をマクロおよびミクロでとらえる本グループ研究の全体像が定まってきた。年度末に班会議を行い、今後の共同研究体制について意見を交換した。第一段階の研究成果を論文として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体内で生じる突然変異を生きたまま、ライブでとらえる(突然変異細胞が光る)事が可能なマウス系統(HPRTdupGFPマウス)の作製に成功した。このマウスでは少なくとも、肝臓、膵臓、小腸、肺、脾臓リンパ球、甲状腺上皮、精原細胞などで生じた突然変異細胞が蛍光顕微鏡下と凍結組織切片で観察できることが確認された。このシステムを用いて放射線被ばくの影響のモニタリングを開始した。放射線の影響はいくつかの組織では観察されたが、個体間のバラツキの大きさが問題となった。胎児被ばく影響については染色体異常の解析も同時に行い、リンパ球については、胎児発生過程での骨髄幹細胞組織の成立前後で異常頻度(変異頻度)が大きく異なる事を見いだした。同様なシステムをメダカで作製する操作も行った。また、第二世代ノックインマウスとして、がん抑制遺伝子p53に変異が生じると細胞が光るマウス作製も3種の方法(単純なp53-GFP transgenic, TALEN systemを用いたp53へのGFP knock-in)にて作製する操作を行った。メダカでは、p53のLOH発生に依存した癌の発生をモニターするシステムが実用段階に入り、幼魚被ばく例において体細胞の過増殖及び増殖組織でのp53LOHを検出した。これにより、放射線被ばくが引き起こす遺伝子LOHが発がんを引き起こすモデル実験となる。 体の中で生じる突然変異細胞の全ゲノム解析のシステム構築も引き続き行った。分化した体細胞と、未分化組織幹細胞の突然変異成立過程の相違について、in vitro, in vivoでの実験システムを構築しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.HPRTdupGFPマウスの体細胞突然変異頻度が予想以上に個体間でばらつくことが明らかとなった。これはつまり個体レベルでfluctuation testをしているのではないかと考えられる。しかし、HPRTdupGFPマウスは6TG(6チオグアニン)を飲ますことにより一旦、全突然変異細胞を体内から消去できると考えられるので、これについて検証する。もしこれができれば、世界初の全身レベルで詳細に突然変異頻度の検出が可能なモデルシステムとなるであろう。HPRTdupGFPマウス作製についての論文を発表する 2.次に、発がんの標的組織として知られる肝臓や膵臓、腸、甲状腺などについて放射線被ばくのリスク評価の解析実験をHPRTdupGFPマウスを用いて行う。線量および線量率効果についての実験も計画する。次世代p53-GFPノックインマウスを完成させる。 3.胎児被ばく、発達期被ばくにより成体となった後の各種組織、臓器に見られる体細胞突然変異頻度、染色体異常頻度の測定を行う。 4.HPRTdupGFPベクターをメダカ受精卵に導入することにより上記システムをメダカ個体でも作製する。p53のLOHが起こるとメラノーマが発生するメダカシステムを完成させ、放射線被ばくの影響を個体レベルで観察する。体の中で生じた突然変異細胞集団について全ゲノムレベルでの解析を試み、ゲノムの不安定性の獲得の有無を検証する。 5.幹細胞と分化した体細胞で起こる突然変異を比較して、変異のメカニズムの相違点を明らかとする。
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[Journal Article] Mutations in the FHA-domain of ectopically expressed NBS1 lead to radiosensitization and to no increase in somatic mutation rates via a partial suppression of homologous recombination.2014
Author(s)
Ohara, M., Funyu, Y., Ebara, S., Sakamoto, Y., Seki, R., Iijima, K., Ohishi, A., Kobayashi, J., Komatsu, K., Tachibana, A., Tauchi, H.
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Journal Title
Journal of Radiation Research
Volume: 55
Pages: 690-698
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Human papillomavirus and p53 mutations in head and neck squamous cell carcinoma among Japanese population.2014
Author(s)
Maruyama H, Yasui T, Ishikawa-Fujiwara T, Morii E, Yamamoto Y, Yoshii T, Takenaka Y, Nakahara S, Todo T, Hongyo T, Inohara H.
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Journal Title
Cancer Science
Volume: 105
Pages: 409-417
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Investigation of somatic acute responses induced by local irradiation in adult medaka2014
Author(s)
Chika Hashimoto, Tomomi Watanabe-Asaka, Takako Yasuda, Hisako Oonishi, Toshiyuki Nishimaki, Takafumi Katsumura, Hiroki Oota, Hiroko Ikeda, Yuichiro Yokota, Michiyo Suzuki, Tomoo Funayama, Yasuhiko Kobayashi, Shoji Oda, and Hiroshi Mitani.
Organizer
The 20th Japanese Medaka and Zebrafish Meeting
Place of Presentation
慶応大学薬学部芝共立キャンパス(東京都港区)
Year and Date
2014-09-20 – 2014-09-21
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