2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25220403
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
山川 充夫 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 客員教授 (00094285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 勝己 福島大学, 行政政策学類, 教授 (00207705)
佐藤 彰彦 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (00634974)
初澤 敏生 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10211476)
三村 悟 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 客員教授 (10648926)
大平 佳男 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任研究員 (10649651)
高木 亨 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任准教授 (20329014)
北山 響 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任研究員 (40647244)
松尾 浩一郎 帝京大学, 経済学部, 准教授 (50468774)
吉田 樹 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (60457819)
山田 耕生 帝京大学, 経済学部, 准教授 (70350296)
石井 秀樹 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任准教授 (70613230)
中村 洋介 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (80386515)
大瀬 健嗣 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任准教授 (90396606)
藤本 典嗣 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (90455907)
開沼 博 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任研究員 (90647885)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 震災復興学 / 原子力災害 / 福島 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害復興の世界的な考え方としては、単に被災前の状況に戻すのではなく、より良い状況に改善して復旧・復興をおこなうという考え方が浸透し、これはBBB(Build Back Better)と呼ばれている(Mannakkara and Wilkinson、 2014; Mimura、2015)。BBBの考え方は社会的、環境的、経済的に被災前よりもさらに回復力のある地域を創るための方法としてRoberts(2000)、Clinton(2006)、Khasalamwa(2009)が定義している。他方、東日本大震災についてはBBBの考え方に基づき、記載・分析し、国際的に情報発信が徐々にされつつあるが十分ではない。報道として東日本大震災は国際的に十分に認知されているが、研究対象としての東日本大震災からの復興はまだまだ不十分であり、国際的アカデミズムの中では研究成果が渇望されている。本研究プロジェクトは研究分担者の藤本をセッションコンビーナとしてAAG2014大会で福島の復興に関する科学的見地からの報告を行った。さらに各研究分担者は国際会議に積極的に参加し、震災復興の様子をそれぞれの専門の立場から発表している。さらに、米Routledge社と出版契約を結んでおり、2冊の本が現在編集作業中である(2016年度出版予定)。以上のようなことから本研究プロジェクトは国際的に広く認知されつつあり、研究成果のインパクトは小さくはない。学術的価値としては人類がほとんど経験したことのない原子力災害からの復興についてさまざまな見地から検討を行っており、研究分担者が持つそれぞれの専門分野の中で高い価値を持つ。そのような中で本研究プロジェクトは他の災害や公害との比較・検討からの復興モデルの構築も含めて研究を推進している。学会・論文発表やワークショップ、シンポジウムなど成果発表も積極的に進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
■ 当初の目標に向けて順調に研究が進展しており、予定どおりの成果が見込まれる (理由) 震災復興学とは震災・災害復興に伴って生じるさまざまな事象を科学的に認識・分析し、現在あるいは未来の災害復興をより良いものとすることを目的として、最終的に世界の平和と発展に寄与しようとするものである。本研究プロジェクトはすでに基礎的データの収集を終え、分析や考察などを進めつつ、補足データや時間変化の中で生じるさまざまな現象を記載している状況にある。米国での出版に代表されるように研究成果を取りまとめつつ、国内外で論文が学会報告として成果を発表する段階に入りつつある。したがって論文や学会での研究発表も中間報告としてのものではなく、最終報告をする準備が整っている。以上のように本研究プロジェクトは概ねデータ収集と分析を終えつつあり、これから本格的に研究成果を公表する「研究成果の収穫期」に入りつつあると判断する。したがって、当初の研究計画に大きな遅れはなく、ほぼ予定通りに目標を達成すると考えている。なお、やむを得ない事情により、繰越金制度を用いて、データ収集を行っている産業復興支援チームの土地利用・景観変化調査についても、成果を出すまでのロードマップはすでにできあがっており、本研究プロジェクト全体の進行に支障はないと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトの最終目標である「震災復興学の確立」は4つの研究チームの成果を統合し、国内外へ情報発信しつつ、「震災復興学」のとりまとめへと進んでいく。現在、各研究チームで最終成果をまとめ始めている状況である。最終的なとりまとめに向けての議論は年に6~12回開催している定例研究会、合宿研究会、現地検討会などですでに議論を始めている。また、これまで行ってきた研究報告会、ワークショップ、シンポジウムの中でも議論してきた。研究代表者である山川は各研究チームの成果をとりまとめ、本研究プロジェクトに参画している全研究者と意見交換しながら、最終的に「震災復興学」を確立する。この成果は日本語とともに英語でも情報発信し、被災直後の福島で始めた研究プロジェクトだからこそ得られた研究成果を世界に発信する。国際的には福島の原子力災害に関するアカデミックな議論が震災5年を経てなお、強く求められており、本研究プロジェクトの成果は高い学術的インパクトと独自性を誇ることができると考えている。今後のスケジュールとして、各研究チームが一連の最終報告を論文や学会で終了した後、4つのチームの成果を合わせて「震災復興学」を確立する予定である。平成28年度は各チームで研究成果を報告しつつ、同じ議論の中に各チームの研究成果をとりまとめる年としたい。最終年度である平成29年度前半までに本研究プロジェクトの最終報告をとりまとめ、平成29年度後半に出版等で公表することを計画している。
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Remarks |
山川充夫「東日本大震災から4年”復興加速”の道筋は,NHK日曜討論,2015年3月8日 山川充夫「原災地南相馬市復興状況調査報告書」,85P,2015.
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Research Products
(136 results)