2013 Fiscal Year Annual Research Report
不動産市場・金融危機・経済成長:経済学からの統合アプローチ
Project/Area Number |
25220502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
植杉 威一郎 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (40371182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 千弘 麗澤大学, 経済学部, 教授 (50406667)
内田 浩史 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60294295)
中島 賢太郎 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (60507698)
祝迫 得夫 一橋大学, 経済研究所, 教授 (90292523)
渡辺 努 東京大学, 経済学研究科, 教授 (90313444)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 不動産市場 / 金融危機 / 経済成長 / バブル / 担保 |
Research Abstract |
本年度においては、2013年度に予定していたいずれの課題についても着手して進捗をみた。 第1に、一橋大学経済研究所内にHIT-REFINED (Hitotsubashi Project on Real Estate Markets, Financial Crisis, and Economic Dynamics)センターを設ける、プロジェクトでの研究会や論文などの成果を報告するホームページの運用を開始するなどして、プロジェクト推進の基盤を整備した。第2に、データベース構築のための各種取り組みを行った。民間信用調査会社から約10万社に及ぶ企業の最近10年間の企業・財務情報と不動産登記情報を入手して、企業が保有する不動産と企業活動の関係を分析できる基本となるデータセットを揃えた。これまで研究者に十分に活用されてこなかった、法人土地基本調査・企業による土地取得状況等調査(国土交通省)などの政府統計を個票利用する取り組みも開始した。更に、家計における不動産取得状況に係るデータを豊富に有する住宅金融支援機構や、不動産の登記変更状況などを全国で把握する民間企業とも連携し、分析に必要なデータセットを構築する体制を整えた。これらは、不動産市場と経済との連関を包括的に解明するための土台を提供するものとして、従来にない取り組みである。 第3に、不動産市場における価格メカニズムの分析を行うとともに、不動産市場と金融危機・経済成長との関係に係る仮説検証を開始した。前者については、バブル期における不動産価格分布の特徴を、日本をはじめとする各国データを用いて明らかにする研究などを進めた。後者については、人口減少が不動産価格に及ぼす影響の検証、不動産価格の変化と企業行動との連関の研究などを開始した。これらの成果を発表する場として、研究会を多数開催して議論するとともに、国際コンファレンスも開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度に実施するとしていた、研究拠点の設置やデータベースの構築等の研究推進基盤の整備、不動産市場における価格メカニズムの分析の推進や、不動産市場と金融危機・経済成長との関係に係る仮説検証の開始といった項目は達成されている。当初の計画以上に進展がみられると考えられる点は以下の2つである。第1に、プロジェクトの初期段階において、メンバー間で最新の知見を共有するために各分野における内外の実務家や研究者を招いた研究会を連続で開催し、2013年6月のプロジェクト開始以降、2014年3月までの研究会開催回数は19回に上り、不動産価格動向を把握するという面に注目した大規模な国際コンファレンスも実施した。ここで議論された内容は、メンバーが研究を効率的に進める上で有益な示唆を与えただけでなく、研究内容が日本や海外の不動産市場やマクロ経済政策に持つ政策的含意を考える上でも大きな意義を有するものであった。第2に、開始初年度にもかかわらず研究論文を35本発表するなど、非常に活発にメンバーが研究活動を実施しており、次年度以降における研究の更なる進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度以降も、概ね当初実施計画に沿って研究課題を実施することとしている。特に2014年度については、12月に海外研究者を交えたコンファレンスと政策担当者や実務家も交えた大規模な公開研究会を実施予定であり、この時点までの研究成果のとりまとめを行うとともに、政策的な含意を議論する。アンケートの実施については、近年特に企業向けのアンケート調査が数多く実施されて企業側の回答負担が増しているとの指摘があることを踏まえ、その実施時期や調査対象企業については、メンバーが関係する他のアンケート調査と調整した上で実施することとする。
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