2014 Fiscal Year Annual Research Report
スマートなものづくりにおけるデザイン支援に関する研究
Project/Area Number |
25242007
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 靖史 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 教授 (20296768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 浩也 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (00372574)
水野 大二郎 慶應義塾大学, 環境情報学部, 講師 (00533770)
松川 昌平 慶應義塾大学, 環境情報学部, 講師 (10644958)
高汐 一紀 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (40272752)
筧 康明 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (40500202)
増井 俊之 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60443222)
仰木 裕嗣 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 准教授 (90317313)
脇田 玲 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (90383918)
大前 学 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 教授 (10327679)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | デジタル・ファブリケーション / アルゴリズミック・デザイン / オープン・ソース・デザイン / ヒューマン・インタラクション・デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、情報技術の応用展開が進むものづくり分野において、生産技術の自動化(デジタル・ファブリケーション)、デザインのプログラム構造化(アルゴリズミック・デザイン)、デザインのネットワーク共有化(オープン・ソース・デザイン)、利用情報の取得(ヒューマン・インタラクション・デザイン)の4つの技術を連動させたスマートなものづくりのデザイン理論を確立するための有用な知見を見出す事である。慶應義塾湘南藤沢キャンパスでは4つの情報技術による、社会実用実験、地域連携実験、教育実験や開発研究実験の具体的な活動を支援する「未来創造工場(仮称)」の運用開始に向けた準備を本研究の活動のひとつに位置づけている。そこでここまで同様の視点から「ものづくり工房」として運営してきた内容について、利用の実態や問題点、要望などを整理してスマートなものづくりとしての革新的な特徴をより活性化するための今後の支援のあり方についての検討をおこなった。同時にその共通基盤としての工作機械やソフトウェア、支援人材、チュートリアルなどについての整備を展開した。これらは研究の目的でもあるスマートなものづくりのデザイン理論を、実践的なデザイン活動事例や、デザインを活かしたものづくり活動から演繹的に抽出するための基礎として、実際に様々な製作が開始された。特にデジタル・ファブリケーション機器としてレーザーカッターに加え、大型の自動切削工作機が稼働を開始した事で、家具のようなある程度大きな構造物が製作可能になり、パラメーター制御されたデザインを高速に繰り返し試作する方法が拡大された事、ポータブルな3Dプリンターを利用可能にした事で、離島などの遠隔地でのオンデマンドなものづくりを加速した事、空間位置情報センシング技術を前提にした製作を開始した事などで、4つの技術の連動を促進する方法の具体的事例を蓄積している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度までで本研究を推進するための基盤としての設備や組織の準備をすすめたことから、4つの情報技術を連動させたスマートなものづくりのデザインに関連した社会実用実験、地域連携実験、教育実験や開発研究実験の具体的な活動支援が開始された。その結果、いくつかの共通した傾向やその促進手法への手がかりなどを仮説的に抽出し、「未来創造ファクトリー」での応用に結びつける検討などが進んだ。第一にこれまでは多種の高度な機械や長年にわたる熟練した技能を前提としていたものづくりに多様なレベルのユーザーが参加可能となる事が、デザインそのものや新たなデザイン創造する活動に影響する点、第二に現代のものづくりが大量生産による性能向上を活用する事を主な経済原理として、その合理性がデザインのドライビングフォースだった事に対して、ここで定義するスマートなものづくりはそこから脱却する事によって、より地域や個人に根ざした社会との関係をデザインに反映する事にその関心を移行する点、第3に人間による利用状態のリアルタイムセンシングデータがアルゴリズム処理されてデザインに反映される傾向などによって、固定化された「かたち」のデザインから適応的な「しくみ」のデザインへの移行が進む点などがあると考えられる。こうした検討の内容が研究の達成度であると考えている。 しかしながら、本研究の目的とするスマートなものづくりとデザインの関係を分析するための様々な事例が徐々に蓄積されてきてはいるが、一部の機器で機器の輸入手続きなどの様々な理由から実験利用の開始が遅れたため、その量と質は当初の予測に比べて十分とは言えない。またキャンパスに設置予定の「未来創造ファクトリー」の建物の開設時期が諸般の事情によって遅延していることから、予定していたシンポジウムも延期され、各研究分担者間での意見交換について期待したレベルに達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、27年度も各研究分担者によるスマートなものづくりとデザインの関係を分析するための具体的な社会実用実験、地域連携実験、教育実験や開発研究実験の蓄積を積極的に進めなければならない。そのための方策として利用可能な機器やその具体的可能性などをできるだけわかりやすく情報提供するためのウェブサイトづくりや、安全に配慮しながらも様々なレベルの利用者が自由に機器を利用できるようにするための管理運用ガイドラインの作成、利用者の理解と技能を向上させるためのチュートリアルワークショップの開催などの方策によって促進する予定である。 次に27年度は研究分担者らによる公開シンポジウムなどを複数開催し、外部の研究者なども招待して動向を探り、違った分野のデザインとものづくりの分野を横断した知見に向けた発見を積極的に促進する予定である。 そして、27年度は当初から予定していた「未来創造工場」を、本設の建物は完成しないものの仮設建物などに分散することによって、運用を開始する予定である。「未来創造工場」を集約的な存在ではないと捉え直したこの分散化方針は、様々なレベルの利用を促進させるための方策として本研究の推進が期待されている。 さらに27年度はここまで得られた知見などを積極的に外部に発信するとともに、スマートなものづくりのデザインが社会的に貢献する新たな研究協力の機会を開拓したいと考えている。
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Research Products
(6 results)