2013 Fiscal Year Annual Research Report
時系列データの蓄積から社会変動モデルの構築へ:中国第三次四都市調査の挑戦
Project/Area Number |
25243001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
園田 茂人 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (10206683)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 第三次四都市調査 / 時系列調査 / 社会変動モデル / 中国 / グランデッド・セオリー |
Research Abstract |
本研究のミッションは、(1)第三次四都市調査(天津、重慶、上海、広州)を成功させ、前二回の調査データも合わせた統合データベースを作成すること、(2)これをもとに、国内外の研究者と共同研究を進めること、(3)その結果、データに基づく中国社会変動モデルを提示すること、の3点に要約することができる。 今年度は、(1)を達成するための準備に充てられた。後述のように、現在までの達成度はおおむね順調に進んでいると評価しているが、これも以下のような研究実績が挙がっているためである。 第一に、今までの研究蓄積を利用した研究成果を英語で発表することができ、これをもとに、海外の中国研究者との意見交換がスムーズに進んだ。特にシドニー大学中国研究所のメンバーからは本研究への強い関心が寄せられ、統合データベースを利用した共同研究がすすめられる確信をもつにいたった。 第二に、調査実施のための具体的な準備が進んだ。平成26年の11月から12月に調査を実施することで中国側パートナーとの合意が取れており、あとは質問票の内容を決定するだけとなっている。 第三に、調査実施のための準備作業についても文章化し、他の研究者からコメントをもらえる状態にある。「『社会爆発仮説』をめぐって」(『東亜』2月号、2~3ページ)は、本研究の一環として、ハーバード大学に訪問し、Martin Whyte教授と対談した成果を紹介したものだが、こうした作業を通じて、研究者自身も、今後の方向性を考えるよい契機となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の交付申請書を作成した際には、質問票内容の確定と調査の実行可能性の確認が大きなミッションとされていた。質問票の内容はまだ確定していないが、これも平成26年度の調査が年末に実施されることがわかっており、内容を確定させるには早すぎることが、中国側調査パートナーとのやりとりで確認されている。 質問内容の一部で、変更をしたほうがよいかもしれない点は、アメリカやオーストラリアの中国研究者との意見交換する中で、指摘されている。特に、行政・政府に対する評価については、いくつかのレベルを設定すべきだし、現時点ではこれができる、というのが彼らの評価だった。 実際、海外の中国研究者との意見交換は予想以上に有益だった。平成25年6月にはカリフォルニア大学バークレー校のKevin O’Brien教授と東大内で意見交換をし、同年12月には、香港大学の呂大樂教授と同大学内で、またハーバード大学のMartin Whyte教授と同大学内で、それぞれ中国の階層研究をめぐる問題点を議論しあった。平成26年1月には、オーストラリアのシドニー大学からDavid Goodman教授とChen Minglu講師を東大に招へいし、中国の中産階級をめぐるワークショップが開催することができた。 他方で、調査の実行可能性についても、すでに確認が取れている。中国側の調査パートナーとは数度にわたって協議を行い、調査対象地の行政区分の変更があるかどうか(天津と重慶はなし、上海はあったけれども同じ調査地を特定することが可能、広州のみ大きな変更があり、対応の必要性あり)をチェックするとともに、前回に調査を実施してくれたパートナーとも交渉し、広州以外では、前回同様調査ができることが確認された。 以上総合して「おおむね順調に評価している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、おおむね順調に研究が進んでいることから、大きな方向変更は考えていない。ただ、(1)申請書を書いた時点よりも円安が進行していること、(2)中国での価格上昇があり以前よりも調査費用が必要とされること、(3)調査費の申請額と決定額とに差があり、今年度予算で4都市の調査費用をカバーすることがむずかしいこと、から、来年度の予算を前倒しして利用することを考えている。そうしないと、調査時点がずれてしまうことになり、今後行うはずの都市間比較がうまくいかなくなるからである。 また、広州での調査実施については、新しいパートナーとの慎重な協議が必要とされる。この点も、来年度の調査に向けて十分に留意しておかなければならない。
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Research Products
(12 results)
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[Book] Routledge2013
Author(s)
Michael Hsiao Hsin-Huang ed
Total Pages
288
Publisher
Chinese Middle Classes: China, Taiwan, Macao and Hong Kong
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