2014 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおけるケアの社会基盤:<つながり>に基づく実践の動態に関する研究
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25243005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
速水 洋子 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (60283660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 千恵 熊本学園大学, 社会福祉学部, 講師 (00638190)
馬場 雄司 京都文教大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10238230)
小林 知 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (20452287)
岩佐 光広 高知大学, 人文社会・教育科学系, 講師 (20549670)
水野 広祐 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (30283659)
江藤 双恵 獨協大学, 国際言語文化学部, その他 (50376828)
伊藤 眞 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (60183175)
加藤 敦典 東京大学, 教養学部, 講師 (60613750)
清水 展 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (70126085)
細田 尚美 香川大学, 学内共同利用施設等, 講師 (70452290)
LOPEZ Mario 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (70527639)
田村 慶子 北九州市立大学, その他の研究科, 教授 (90197575)
岡部 真由美 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (40595477)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケア / 文化人類学 / 移動 / 親密圏 / 社会福祉関係 / 家族 / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は二年度目にあたり、メンバー全員、初年度に始めた現地調査を継続して実施してきた。制度に関する研究や(タイ 江藤)、ケアをめぐる施設に関する調査(シンガポール 田村、インドネシア 合地)、また、制度を末端にて担うケア・ワーカーが実際にどのように活動し、制度が機能しているかを現場で実見(タイ 吉村、インドネシア 伊藤)した。多くは、現地で実際にケアがどのような語彙を持って語られ、誰に担われているか(ラオス 岩佐、タイ 速水)、またどのように実践されているか(ベトナム 加藤)を検証している。いくつかの共通テーマとして、制度と実態の比較、ケア概念の再考、高齢者などによる同居形態の選択などが浮上してきた。 夏には、国際高等研究所において「老いを考える」プロジェクト研究会に合流し、医学や保健衛生の専門家と議論を交える機会があった。また、一年の成果を共有し議論をすべく、27年2月に、水俣において2泊3日の合宿を行った。水俣では、水俣病の認定を受けた人々がどのように生活を営んできたか、現地視察・博物館見学・当事者の語りなどによって学ぶ機会を得た。また、合宿中は、HIV陽性者の生活を題材にした、メンバーの作成した映像を見て討論をした他、各自の一年間の調査成果を発表し議論した。また、それらを通じて「ケア」という概念そのものを今後どのように本プロジェクトで扱っていくのか意見を交えることができた。また、3年度目にいくつかの学会へのパネル参加を準備し、今後の、後継プロジェクト申請も含めて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に、各自が自ら研究を進める国における制度の現状の基本をおさえるところから始め、フィールド調査地を決定し、調査を開始した。二年度目は、それらに基づいて、調査地で何がテーマとして問題になるのかが明確になってきている。それぞれが自らのフィールドにおいて、ケアがどのように表現され、どのように実践され担われているか、ケアを受ける当事者がどのような選択が可能で、同居形態などどのように選択しているか、といった点まで踏み込めるようになっている。こうした各自の研究を通じて、上述のようにいくつかの共通テーマが浮上してきており、最終年度・成果に向けてメンバーがいくつかのクラスターに分けられることが予想できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、引き続き、各自調査を実施する。最終成果を見据えて、一定の結論に導けるような調査を心掛ける。 また、メンバーによるいくつかの学会発表の機会が予定されている。第一は、5月30日、日本文化人類学会にて、「東南アジアからケアを考える」分科会を実施する。第二は、7月の国際学会(IUAES Inter-Congress)がバンコクで開催され、代表者は、ここでReassembling Relations of Careと題したパネルで発表予定である。さらに、第三には、12月にSEASIAコンソーシアムの第一回大会(於:京都)にて、Social Foundations of Care in Rural Southeast Asiaと題し、本科研メンバーにベトナムからのメンバー一人を加えて分科会を実施する。 年度末に再度合宿を行い、各自が最終成果の出版に向けて発表と議論を行う。 また、秋には、後継プロジェクトについて準備を進める。
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