2013 Fiscal Year Annual Research Report
尊厳概念のアクチュアリティ――多元主義的社会に適切な概念構築に向けて――
Project/Area Number |
25244001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
加藤 泰史 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (90183780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 公生 岩手大学, 教育学部, 教授 (30183750)
齋藤 純一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60205648)
松井 佳子 神田外語大学, 外国語学部, 教授 (60255180)
大河内 泰樹 一橋大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (80513374)
品川 哲彦 関西大学, 文学部, 教授 (90226134)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 尊厳 / 人間の尊厳 / 民主主義 / 多元主義 / iPS細胞研究の倫理問題 |
Research Abstract |
平成25年度の研究計画にもとづき、9月に分担者と研究打ち合わせを行い、平成25年度の計画を確認すると同時に、iPS細胞研究者らを招聘して「iPS細胞研究の倫理問題」「脳神経科学の諸問題」と題したワークショップ(一橋哲学フォーラムと共催)を開催してiPS細胞研究の現状・iPS細胞研究の倫理問題・偶発的所見対処法・脳神経科学と法に関して議論した。その結果として、1)iPS細胞研究にはES細胞研究の場合と特に異なった倫理問題は存在しない、2)ヌスバウムの感情の評価理論と、それに関連した嫌悪が尊厳を毀損する行為を正しく認識する状態なのかをめぐる問題が論点になる等の理論的に重要な知見を得た。 11月にゼール教授(フランクフルト大学)を招聘して研究会を開催し、「自然の情感的承認」の独自性に関して新たな知見を得た。2月末にはゲアハルト教授(ベルリン大学)を招聘して研究会を開き、ハーバーマスとは異なった新たな「公共性」理論の構想に関して重要な知見を得た。両者は「尊厳」を美学および政治哲学ないし政治学の領域で考察する上で重要な理論的視座を提供するものであり、その点で今後の研究推進にとって大変有益であった。 1月に研究代表者は、デュッセルドルフ大学で打ち合わせとともに「日本の環境問題とiPS細胞研究の倫理問題」と題した研究発表を行った。さらに3月にはシェーンリッヒ教授(ドレスデン工科大学)・シュトゥルマ教授(ボン大学)らの参加を得てデュッセルドルフ大学で国際ワークショプを開催し、シマダ教授(デュッセルドルフ大学)と共同で「Konzeptpapier」と題して「尊厳」研究の現状と課題などに関して研究発表を行い、海外研究者との共同研究の具体化を議論して合意を得た。また同時に小谷英生・岩佐宣明・横山陸・瀬川真吾らの研究発表も行われた。 2月に『ドイツ応用倫理学研究』第4号を編集して公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の当初研究目的の達成度に関して、おおむね順調に進展しているとした理由は、(1)当初予定していたワークショップや国際ワークショップ、さらに著名な海外研究者の招聘などが予定通りに行われ、特にフランクフルト大学のゼール教授やベルリン大学のゲアハルト教授とはその後も学術的交流を続け、本研究課題の研究遂行に学術的に大変寄与しており、さらに(2)ドイツ・デュッセルドルフ大学で開催された国際ワークショップで、シェーンリッヒ教授(ドレスデン工科大学)・シュトゥルマ教授(ボン大学)・シュタイネック教授(チューリッヒ大学)・ビルンバッハー教授・ディートリッヒ教授・シマダ教授(以上デュッセルドルフ大学)・ケトナー教授(ヴィッテン/ヘアデッケ大学)らの参加を得て、「尊厳」研究の現状や研究課題に関して共通理解を得て、今後の共同研究に向けた合意を達成できたことなどが挙げられる。特に後者に関して、この合意の具体化として平成26年度の10月に国際ワークショップを一橋大学で開催することが決定し、現在その実現に向けて共同作業に入っているが、これは研究推進にとって重要な進展と位置づけることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策に関しては、次の二方策を継続して行う。一つは、ワークショップ・研究会などを定期的に開催して内外の研究者を招聘したり研究代表者・研究分担者・連携研究者・研究協力者らが研究発表を行うことによってそれぞれの研究課題を具体的に進展させてゆくものであり、もう一つは、国際ワークショップを少なくとも年に一回は開催してそのつどの成果を海外にも発信することで欧米、特にドイツの研究者との共同研究を進展させてゆくものである。 これら二方策にもとづく研究成果を『ドイツ応用倫理学研究』で取りまとめて公表することを予定している。
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Research Products
(29 results)
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[Book] Ethics for the Future of life: Proceedings of the 2012 Uehiro-Carnegie-Oxford Ethics Conference2013
Author(s)
Tetsuhiko SHINAGAWA, Karuoka Aita, Akira Akabayashi, Misao Fujita, Tom Beauchamp, Roger Crisp, Ruth Faden, Madison Powers, Masaki Ichinose,Guy Kahane, Satoshi Kodama, Masahiro Morioka, Ingmar Persson, Julian Savulescu, SUsumu Shimazono, Tetsuo Shimizu, Shinya Yamanaka
Total Pages
158(144-154)
Publisher
Oxford University Press
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[Book] Dialog-Reflexion-Verantwortung2013
Author(s)
Tetsuhiko SHINAGAWA, J. O. Beckers, F. Preussger, Th. Rusche, D. Boehler, W. Kuhlmann, B. Herrmann, S. Descher, J. P. Brune, A. Cortina, A. Matheis, H. Roetz, P. Schier, M. Bauschke, J. Hellensnes, E.-M. Schwickert, G. Altner, K. Ott, L. Voget-Kleschin, F. Staehli et al
Total Pages
464(427-442)
Publisher
Koenigshausen & Neuman Verlag
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