2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25244017
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
峰岸 真琴 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20183965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野元 裕樹 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 講師 (10589245)
川口 裕司 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20204703)
長屋 尚典 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 講師 (20625727)
川上 茂信 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40214598)
鈴木 玲子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40282777)
降幡 正志 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (40323729)
藤縄 康弘 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60253291)
岡野 賢二 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60376829)
黒沢 直俊 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (80195586)
加藤 晴子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (90275818)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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Keywords | 話しことばコーパス / 談話分析 / 談話の結束性 |
Outline of Annual Research Achievements |
・【文字コーパス化】海外研究者の協力のもとに話し言葉(自然談話あるいは会話)の録音・その文字起こしを行って,コーパスデータ化を進めた)。一方,文体比較データとして、ラオス語の現代口語体小説,タイ語のテレビインタビュー番組に関するコーパス化作業,インドネシア語新聞コーパスに関するデータ分析も並行して行った。 ・【コーパス化とその利用のための研究】 各言語の形態レベルの特徴に応じて,代名詞,談話標識などの機能辞を中心としたタグ付けを行った。 ・【言語学的談話分析】各言語の形態統語論上の特性に応じて,代名詞と指示詞の使い分け,主語の現れと省略,主題の選択,さまざまな談話標識に関わる機能辞,疑問詞や終助詞についての分析を進めた。以下,各言語コーパスの具体的な分析と主な成果発表について述べる。 中国語については,叙事,叙情,台詞の3つの叙述タイプ別にみた指示,人称,移動の表現の特徴について,漢日対比語言学研討会において口頭発表した。ラオス語については,機能語「nam」および類似の意味を持つ「kap」の比較分析を行い,その成果をラオスでの学会にて発表した。インドネシア語については,機能辞 -lah と -kah の使い分けの分析を進め,インドネシアで開催された国際学会で発表を行った。タガログ語については,談話標識や疑問詞の文法機能について研究を行い、疑問詞の機能については国際ワークショップにて発表を行った。ドイツ語については,語順(特にV2直前の前域の配置方法)と主語の関係について2本の口頭発表を行った。 ・これまでの分析・研究の成果に関する情報の共有を目的として,英国から2名の専門家を招へいしてワークショップを2回開催した。いずれも具体的な言語についてのコーパス作りとその分析に関する研究の最先端情報を共有するために有益であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,それぞれの言語について話しことばの録音・文字起こしを中心としたコーパス構築と談話分析を進めている。 本年度は研究実施の第3年度であり,当初計画に従い、録音、文字起こしを行いつつ,各言語の形態統語論的な特性に応じた分析用タグ付与など、会話コーパスの構築作業を前年度に引き続き行った。これについては研究は順調に進展している。 また、話しことばとの比較の観点から、ラオス語の口語体小説のコーパス化も行っている。マレー・インドネシア語やビルマ語では、自動タグ付けの研究も進んでおり、また機能語のアノテーション付与のための研究も進めている。 これと並行して,研究課題の共通テーマである談話の結束性の分析についての分析を進めている。今年度は主語,代名詞,指示詞,主題の選択と省略,さまざまな談話標識の帰納的な分析について進展が見られた。コーパス構築からデータ分析と成果発表,成果を反映したコーパスタグ付与の改良という,研究のサイクルが軌道に乗ったということができる。 以上のことから、当初研究目的についてはおおむね順調に達成されていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究はおおむね順調に進展しているため,推進方策に関して特段の変更は必要ないと考える。従って今後も当初計画に従い,録音,文字起こし,分析用タグ付与など,会話コーパスの構築作業を行う。最終年度である次年度は,これまで行ったデータ構築に不十分な部分があれば補いつつ,本研究課題の主要なテーマである「談話の結束性」の分析へと,重点を移していく。
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