2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25245005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡田 信弘 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (60125292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 勝利 上智大学, 大学院法学研究科, 教授 (70108421)
西村 裕一 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (60376390)
只野 雅人 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (90258278)
徳永 貴志 和光大学, 経済経営学部, 准教授 (50546992)
浅野 善治 大東文化大学, 大学院法務研究科, 教授 (60384682)
常本 照樹 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (10163859)
佐々木 雅寿 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (90215731)
加藤 一彦 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (30256292)
木下 和朗 北海学園大学, 大学院法務研究科, 教授 (80284727)
新井 誠 広島大学, 大学院法務研究科, 教授 (20336415)
黒澤 修一郎 島根大学, 法文学部, 講師 (30615290)
齊藤 正彰 北星学園大学, 経済学部, 教授 (60301868)
武藏 勝宏 同志社大学, 政策学部, 教授 (60217114)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 公法学 / 政治学 / 議会制 / 二院制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究活動は、国内外の研究者や実務家との学術交流を通じて、本共同研究の課題である二院制の規範論と動態論とを交差させる研究を進めるとともに、成果の一端を国際的に発信することに置かれていた。具体的には、次の諸活動を行った。 まず、共同研究の中間報告会と国際的な学術交流を兼ねて、2014年8月に、フランス(ランス大学)から2人の憲法と議会法の研究者を招聘して北海道大学で研究会を開催した。フランスにおける議会活動(二院制を含む)の最近の問題状況について、制度論の側面だけでなく政党システムを踏まえた動態論の側面に関する知見を得ることができた。フランス人研究者の2つの報告の翻訳は、『北大法学論集』65巻6号(2015年3月)に掲載されている。 次に、2015年3月に、イタリアとイギリスから3名の研究者を招き、二院制についてイタリア・ドイツ・フランス・イギリス・アメリカ・日本を比較する国際シンポジウムを東京(アルカディア市ヶ谷)で開催した。このシンポジウムには、日本側から研究者だけでなく、国会図書館や議院法制局の実務家も討論に参加してもらった。実務と理論を架橋する学術交流を通じて、本共同研究を深めることができたように思う。なお、招聘した3名の外国人研究者はその後京都に移動し、同志社大学で開催した研究会で、研究分担者である武蔵勝宏教授の報告に対するコメンテーターとして参加してもらった。これらシンポジウムと研究会の成果は、順次、『北大法学論集』で公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究会や国際シンポジウムにおける議論を通じて、主要国における二院制の「規範論」と「動態論」の関わり方がより明確になったと評価している。イタリアやフランスでは「規範論」がどちらかといえば「動態論」に優位し、そのことが制度改革をめぐる活発な議論に結びついているように思われる。これに対して、イギリス、ドイツ、オーストラリアでは「動態論」のほうが優位し、そのため制度改革よりも二院制の運用に関わるアクター間の合意形成による問題解決が試みられているとの印象を持った。日本における議論のありようは前者に位置づけられようが、制度改革がなかなか進まないというのが現状である。そこで問題となるのが、政党制度と選挙制度のありかたである。「規範論」と「動態論」を交差させるには、この両者の結び付き方の研究が不可欠である。 なお、研究成果の国際的な発信活動の一環として、研究代表者は、2014年6月にノルウェーのオスロ大学で開催された「国際憲法学会第9回世界大会」の部会(「直接民主政」)にペーパーを提出しコメントを行った(論究ジュリスト11号190-191頁参照)。
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Strategy for Future Research Activity |
個別に遂行してきた二院制に関する「規範論」的研究と「動態論」的研究を交差させる作業(研究会やシンポジウムの実施)を行う。具体的には、以下の推進法策に基づく活動を重点的に行う予定である。 今までの共同研究で漏れている課題(例えば、一院制研究)を遂行するために、研究代表者及び分担者が出張し、国内外の議会・立法補佐機関・大学等で、二院制(一院制を含む)の運用や実態に詳しい関係者にヒアリングを実施し、現状の問題点や改革論を検討するために必要な情報収集を行う。それを踏まえて、研究分担者全員、共同研究に協力する立法・行政機関等の実務家および実務経験者が参加する研究会を開催することにより、比較の視点も考慮に入れつつ、日本国憲法における二院制の「原点」と「現点」を探ることを予定している。さらに、本共同研究の総括を行う国際シンポジウムを、日本の二院制を考えるときに重要な手掛かりを提供しつづけているイギリスとオーストラリアから代表的な議会制度研究者を招聘するだけでなく、日本の議会制研究者と実務家を招待する形で開催し、両者の濃密な議論を通じて、本共同研究のまとめにつながる知見を得たいと考えている。
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Research Products
(32 results)