2013 Fiscal Year Annual Research Report
グローバルなシンジケートローンの規律の相互作用・補完の研究-取引実態・契約書・法
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25245008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
森下 哲朗 上智大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (80317502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 美明 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (20144420)
小塚 荘一郎 学習院大学, 法学部, 教授 (30242085)
道垣内 弘人 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40155619)
黄 ジンテイ 帝塚山大学, 法学部, 准教授 (50372636)
藤澤 尚江 筑波大学, ビジネス科学研究科(系), 准教授 (60533750)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シンジケートローン / 国際金融 / 契約書 |
Research Abstract |
25年度は、①欧州(特に英国)や香港における標準契約書の実態調査、②欧州(特に英国)や香港における取引実態や紛争事例の調査、③日本の紛争事例についての海外の評価の調査を行った。なお、②の調査に際しては、日本の市場実態についてのアンケート調査結果を参考として、質問項目を取りまとめた。 ①欧州やアジア太平洋地域におけるシンジケートローン市場に関する団体を訪問し、両組織において作成・使用している標準契約書の内容について調査を行い、欧州や香港における標準契約書の制度をある程度解明することができた。 ②欧州や香港におけるシンジケートローンの取引実態や紛争事例、金融取引における近時の論点について、上記団体や、ロンドン及び香港の法律事務所・企業・大学を訪問したり、ハーグでの学会に参加し、調査を行った。金利の問題、FATCAへの対応は現在のホット・イシューのようである。 ③日本の最高裁判決について、英国及び香港の複数の実務家の感想を聞いたところ、一致して、英国法・香港法の目から見ても、結論に違和感はないとのことの意見に接することができた。 また、欧州で重要な問題となっているシンジケートローン契約書の特定の条項(紛争解決条項)を取り上げ、裁判例の検討等を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の目標であった、海外の標準契約書や取引実態についての調査については、欧州・香港において実り多い調査を行うことができた。この結果、欧州市場、アジア・太平洋市場における標準契約書の制度について知ることができるとともに、これらの地域においてどのようなことが問題となっているか、について知ることができた。 また、日本との比較という観点からは、日本の裁判例が英米法系の国々でどのように受け止められるかといったことを調査することができた。法体系や理由づけは異なっても、結論には異論がないというのがほぼ一致した見解であったのは意外な発見であった。 25年度に実施する予定であった我が国における標準契約書の利用状況についての実態調査については、海外での実態調査を踏まえて、海外との比較といった視点から実施した方が効率的と思われることから、26年度以降の課題としたい。 以上のような理由で、本研究課題はおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は欧州(特に英国)と香港についての調査を行うことができたが、本研究との関係では、米国及び欧州(大陸地域)やオーストラリアの状況についても調査することが重要である。 26年度は、これらの地域の実態調査を進めたい。また、同時並行的に、欧州と日本のシンジケートローン契約書の具体的な条項についての比較検討も行っていく。具体的な条項についての比較検討を通じて、国際と国内の乖離の所在とその理由を明らかにすることを試みる。そして、海外の調査や契約条項の比較検討といった研究成果の一部を公表し、学界や実務のフィードバックを得ることとしたい。 最終年度である27年度には、26年度までの研究を踏まえて追加・補充の実態調査を行うとともに、国内外の取引実態等の相違を踏まえた契約書条項の比較研究の成果を公表し、より良い契約実務等に資する提言等を取りまとめることとしたい。
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Research Products
(8 results)