2014 Fiscal Year Annual Research Report
複合リスクガバナンス-リスク俯瞰マップ、領域別事例比較、制度的選択肢
Project/Area Number |
25245018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
城山 英明 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (40216205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 武俊 東京大学, 政策ビジョン研究センター, 教授 (50371216)
三國谷 勝範 東京大学, 政策ビジョン研究センター, 教授 (40633368) [Withdrawn]
岸本 充生 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部, 特任教授 (60356871)
藤原 帰一 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90173484)
藤谷 武史 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (90313056)
島村 健 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50379492)
佐藤 智晶 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部, 特任講師 (20554463)
松尾 真紀子 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部, 特任研究員 (40422274) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 複合リスク / リスク俯瞰マップ / 制度設計 / ナショナルリスクアセスメント / リスクガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多面的に相互連関する複合リスクガバナンスのあり方を検討するため、リスク俯瞰マップの作成、領域別事例比較分析、総合的な対応における制度設計の検討の3つの視点で研究を進めている。 本年度は、前年度の第1回ウェブ調査の結果を報告書にまとめ、その教訓を踏まえ、本格的な調査を実施し、「日本のリスク・ランドスケープ第2回調査結果」を取りまとめた(回答者169名。対象は教育機関の専門家、実務家等の有識者を中心とし、学生等も含む)。今後10年という中短期的タイムスパンにおける、リスク認識と順位づけ、そのリスクの相互連関を調査した。具体的には、5分野(経済、環境、社会、地政学、技術)ごとの影響可能性と影響度からの分析、全体としてのリスクランキング、リスク間の相互連関マップの作成を行った。こうした俯瞰的な研究と並行して、原子力、金融、安全保障等の領域別分野比較の研究を継続した。また、防災や危機管理における制度設計の検討に資するよう、文献調査を引き続き実施し、それを踏まえて米国ヒアリング調査(連邦緊急事態管理庁(FEEMA)や国土安全保障省(DHS)等)も実施した。 これらの成果は、学会(日本リスク研究学会第27回年次大会等)にて発表を行うとともに、「これからのリスクを俯瞰する」と題する会議も開催した(2014年10月)。会議では、上記報告書で、洗い出され、可視化されたリスク俯瞰マップを踏まえ、社会・経済・地政学・技術・環境など多様な分野の専門家による議論を行い、個別分野のリスクにとどまらない相互連関性、分野横断性を踏また包括的なリスク管理のあり方・制度設計についての議論を深めた。なお、本研究の実施に際しては、連携研究者の菅原慎悦(電力中央研究所)及び、研究協力者の松尾真紀子(東京大学)が参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度最も注力すべき事項として予定していた、本格的なリスク・ランドスケープ調査の実施、その報告書の作成、成果普及と議論の為の会議の開催など実施し、十分に研究目的の達成が行われている。領域別分野比較に関する検討を重ね、文献調査により内外動向の情報収集・分析を継続、それを踏まえた海外調査も実施した。その成果のフィードバックも得て、横断的な制度設計の検討も進めている。最終年度には、国際的な場でこれまでの成果について海外の研究者との議論を通じて深めることを予定しているが、その議論の場として、本研究にも関連の深い世界リスク学会(World Congress on Risk, WCR)の企画セッション(Seeking Integrated Approach for Risk Governance in Asian Countries)を応募し、既に採択されている。また、関連する予備的な議論はすでに国内外における参加者と進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、最終年度であることから、とりまとめを念頭に、これまでの3つの体制(①リスク俯瞰マップを踏まえた議論の継続、②領域間事例比較の実施、③複合リスク対応のための制度設計の検討)をベースに研究を進める。 第一のリスク俯瞰マップについては、その研究成果の公開及びシンポジウムの開催等で、可視化・発見された多様な要素の相互連関やリスクトレードオフ等の関係性について、国内外の研究者と更なる議論を継続することで、個別領域の比較や制度設計へのインプットとして役立てる。第二に、領域別事例(原子力、安全保障、食品、公衆衛生等)の領域のリスクに関する検討を継続する。これらの分析においては、個別領域を複合リスクの観点からとらえることで、その周辺リスク及びそれとの相互連関などがいかに扱われているかを把握し、制度設計を検討する上での示唆を得る。第三に、上記二つの成果を踏まえた上で、国家レベルでリスクを俯瞰した際にどのようにリスクを把握し評価するのか(「ホライゾンスキャニング」、「ナショナルリスクレジスター」や「ナショナルリスクアセスメント」という形で欧米や、アジアではシンガポールなどで展開されている)についての基本的要素と方向性について検討する。そして最終的には、複合リスク対応のための制度設計の選択肢を、規制・防災計画・危機管理といった3つの観点から検討し、とりまとめを行う。また、これまでに得られた成果と今後の制度設計の課題について議論することを目的として、国内外の研究者とともに世界リスク学会(World Congress on Risk)の企画セッションにおいて発表予定である。
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