2014 Fiscal Year Annual Research Report
網膜錐体構成の個人差を補償する色知覚の普遍性機序の光生理学・心理物理学的解明
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25245065
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
内川 惠二 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (00158776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三橋 俊文 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (20506266)
福田 一帆 工学院大学, 情報工学部, 准教授 (50572905)
栗木 一郎 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80282838)
山内 泰樹 山形大学, 理工学研究科, 教授 (60550994)
坂田 勝亮 女子美術大学, 芸術学部, 教授 (40205745)
吉澤 達也 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 教授 (90267724)
篠森 敬三 高知工科大学, 工学部, 教授 (60299378)
不二門 尚 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50243233)
鯉田 孝和 豊橋技術科学大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10455222)
須長 正治 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (60294998)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 色覚学 / 眼光学 / 視覚情報処理 / 色彩工学 / 感覚・知覚・感性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に確立された実験方法を用いて、個人の L/M錐体比と色の見えのデータ収集を本格的に行った。さらに、昨年度より引き続き、fMRI法による脳機能計測を行った。 (1) ERGフリッカー法と被験者毎の錐体の遺伝子解析により被験者毎の L/M錐体比の測定、黄斑色素濃度分布の測定による錐体分光感度の補正を継続して行った。 被験者は8名となった。(2)既存のAO-SLO装置を用いて、順応法によって、L錐体とM錐体の視物質の褪色濃度変化を赤外光で測定した結果、濃度変化の分光ヒストグラムに2峰性が見られ、L/M錐体比が観測可能であることがわかった。可視光を使った新AO装置の開発は、他のグループの研究の進捗に合わせて高い仕様にしたため開発中であるが、軸上および横方向の色収差の補正方法を確立するなど、研究的には進展できた。(3)水晶体濃度の加齢変化要因について、CIE委員会(TC 6-15)報告を中心に検討しつつ、水晶体濃度測定手法を精査した結果から、ハイパースペクトラルイメージング手法による濃度測定を企図し、その準備をほぼ終了した。(4) fMRI法を用いてユニーク色相と反対色応答が零になる色相との誘発する脳活動の差を測定する実験を開始した。(5)心理物理実験により、L/M錐体比のわかった被験者に対して、錐体コントラスト空間上で色弁別閾値を測定し、色弁別閾値がLノイズあるいはMノイズによってどの方向に増大がするかを見て、L/M錐体比との相関を取る実験を開始した。さらに、ハイパースペクトルデイスプレイによる単色光刺激を用いて各被験者のユニーク色波長を求めた。(6)ハイパースペクトルディスプレイを用いて、自然風景分光反射率画像に照明光スペクトルを変化させて照明したシミュレーション刺激画像を作り、この刺激画像により照明光色弁別が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究目的は、人間の網膜内の L, M錐体の比率と分光感度には個人差が大きいにもかかわらず、色の見えには個人差がほとんどないことから、 L, M錐体から大脳皮質に至る色覚過程で、L、M錐体構成の個人差を補償し、色の見えと物理的な光スペクトルとの普遍的な対応関係を付けるキャリブレーションメカニズムが存在していることが考えられるが、この色覚個人差補償メカニズムを調べるために、ERG等を用いた光生理学的方法でL/M錐体比の個人差を明らかにし、色の見えを心理物理的に測定すると共に fMRI法によって普遍的な色の見えの脳内部位を同定し、最終的にアウトカムとして新しい環境光適応型色覚モデルを提案することである。 本年度は、昨年度に確立された実験方法を用いて、個人の L/M錐体比を主にERG法とLM錐体の遺伝子型の同定により順調に行い、また心理物理実験による色の見えと色弁別測定を開始し、データの収集を行った。さらに、昨年度より引き続き、fMRI法による脳機能計測を行った。したがって、本年度の研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、収集したデータの解析を行い色覚系の補償メカニズムの解明と新しい環境光適応型色覚モデルの提案を行う。(1)各個人から測定された L/M比の範囲と過去に公表されている L/M比を比較して、本研究方法の妥当性や優れた点を明らかにする。(2) L/M比から計算される赤緑 (L-M)反対色応答値が零になる刺激光のスペクトルと、赤みも緑みもない色の見えを与える実験から求められた刺激光スペクトルを比較して、色覚系のキャリブレーション係数を求める。(3) fMRI法による測定された部位の結果を解析し、赤みも緑みもない色の見えを与える刺激光スペクトルに対して特的な反応をする部位が V1~ V4のどの領域にあるかを明らかにする。(4)以上の結果を総合的に考察して、色覚系の補償メカニズムの解明と新しい環境光適応型色覚モデルを構築する。
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Research Products
(31 results)
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[Presentation] Clinical application of AO-SLO2015
Author(s)
Takashi Fujikado
Organizer
International Workshop "Level-processing of color vision - optics, cone and color perception"
Place of Presentation
Suzukake Hall, Tokyo Institute of Technology, Yokohama
Year and Date
2015-03-04
Invited
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