2013 Fiscal Year Annual Research Report
テレビメディアにおける言説・ 映像空間の特性と教育世論の形成に関する実証的研究
Project/Area Number |
25245075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
越智 康詞 信州大学, 教育学部, 教授 (80242105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 隆雄 南山大学, 人文学部, 教授 (20247133)
金子 真由子 秋草学園短期大学, 講師 (30591193)
紅林 伸幸 滋賀大学, 教育学部, 教授 (40262068)
近藤 尚 中部大学, 全学共通教育部, 准教授 (50594008)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マスメディア / 世論 / 映像 / 言説 / テレビ / 教育 / メディア |
Research Abstract |
教育事象は客観的な成果が見えにくく、政策実現過程においてそれがどのように語られイメージされるかが大きな力を持つ。本研究は、教育に関する語りやイメージ(教育世論)が形成される空間(スクリーン)として、テレビメディアを採り上げる。メディアと教育世論のあいだにある複雑な関係性を解きほぐす第一歩として、テレビメディアにおいて教育の諸現象が、いかにして言説化・映像化され、問題として構成されていくのかを、実証的に分析することが本研究の課題である。25年度は、その研究の1年目にあたり、関連理論の洗い出しや研究方法についての研究、さらにはデータの蓄積と整理が主で、実証分析としてのテレビメディアにかかわる研究成果は出ていない。しかし、その前段階として、マスメディアの一翼を担う新聞記事と世論の関係について、その全般的傾向性及びここ数十年における変化についての分析を行った。テレビに限らず、マスメディアのメディア構造としての一般的特性は、情報提供者と受容者を分離させ、視聴者を受け身の消費者として構成し、メディア自身は世論を映し出す鏡として自己形成していくが、こうしたマスメディア的特性はここ数年の消費社会の浸透と共鳴しながら、ますます強まっていることが予想される。実際、今回「体罰」に関する新聞記事を素材にここ30年の変化を分析した結果、その言説編成の仕方において、消費社会的なサーヴィス化の影響が強まっていきている現実が浮き彫りになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、これまで研究分担者らが行ってきた教育言説研究の蓄積を引き継ぐものではあるが、テレビメディアを素材とする分析は、まさにスタートしたばかりである。研究の1年目にあたる平成25年度は、先行研究や分析方法についての検討を進める一方、マスメディアを代表するもうひとつのメディアとして新聞を素材とする簡単な分析を行い、一定の知見を得た。テレビメディアのデータを体系的に分析し、そこから新しい知見を見いだすことはまだ実現していないが、データの蓄積・整理と分析を行うための理論的・方法的検討は着実に進めてきており、概ね計画どおりに進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は5年計画であり、主な課題は①テレビメディアが構成する教育言説・イメージ空間の構造特性の分析、②テレビメディアによる教育世論の形成のプロセスとメカニズムの二つに分けられる。26年度は、前者の①テレビメディアが構成する教育言説・イメージ空間の構造的特性の分析を行う。そのために、これまでに蓄積された報道番組における映像データを素材として体系的に分析を推進し、その中で教育の諸現象がいかに語られ、イメージとして構成され、問題として提示されるのかについて、そのプロセスを跡づける。本年度はさらに、テレビメディアのメディアとしての特性の分析やマスメディア、世論、政治の関係を巡る先行理論の検討など、本実証研究を掘り下げ、これにより広い射程、深い意義を与えるための理論研究を推進していく。
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