2015 Fiscal Year Annual Research Report
AlN系へテロ構造の結晶成長と紫外発光デバイス応用に関する研究
Project/Area Number |
25246022
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
谷保 芳孝 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主幹研究員 (20393738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊倉 一英 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 特別研究員 (00393736)
平間 一行 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 研究主任 (50434329)
山本 秀樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 部長 (70393733)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 結晶成長 / 半導体物性 / 窒化物半導体 / 発光デバイス / 紫外 |
Outline of Annual Research Achievements |
AlN系深紫外発光ダイオード(LED)において、これまで用いられている極性面よりは非極性面の方が発光効率を高くできることを計算により示した。しかしながら、AlNのMOCVD成長において、非極性面の成長表面平坦性は極性面よりも悪く、デバイス作製時の課題であった。非極性面AlN成長時に、III族とV族原料を交互に供給する流量変調エピタキシを適用することで、原子レベルで平坦な成長表面を得ることに成功した。また、AlN系レーザダイオード(LD)の実現に向けて、AlGaN量子井戸の高品質化を図り、波長約260nmの深紫外域において光励起によるレーザ発振を確認するに至った。 イオンビームアシストMBEにおける立方晶BN(c-BN)薄膜の成長制御に取り組んだ。ダイヤモンド(111)基板上のc-BN成長においては、そのヘテロ界面ではC-B結合が形成していることを実験的に示し、c-BN薄膜はN極性で成長していることを明らかした。また、成長中のイオン照射の加速電圧が高いほど、面内の圧縮歪みが大きくなることが分かった。大きな歪みはヘテロ構造デバイス時の問題となるが、イオン種を変えることで圧縮歪みを低減できることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AlNの高温MOCVD成長において、流量変調エピタキシを適用し、結晶成長機構に関する知見を得るととともに、デバイス作製に向けて課題であった表面平坦性を向上することができた。 深紫外領域の光学評価は技術的に困難であるが、深紫外用の近視野像(NFP)/遠視野像(FFP)計測装置を構築することができた。 AlN系深紫外LEDの高発光効率化、さらにはAlN系深紫外LDの実現に向けて、AlNおよびAlGaNのp型ドーピングが大きな課題であるが、結晶性の向上が進み、p型ドーピングの制御性を高めることができた。 立方晶BN(c-BN)の結晶性は向上してきたが、c-BNのドーピング制御、新規BN系混晶の成長、デバイス化に向けては、c-BNの成長速度を高める必要がある。その解決策として、大出力・低加速のイオンソース源をMBEに導入することができた。イオン照射によりc-BNに歪が導入される問題が発生したが、イオン種により歪を低減できることを早期に見出すことができた。 以上、全体としては計画通りにおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
AlN系ヘテロ構造の高温MOCVD成長機構の解明と高品質成長技術の確立に引き続き取り組む。原子レベルでの結晶成長制御により、深紫外AlN系量子井戸LEDのさらなる高効率化を図る。 AlGaN量子井戸の光励起レーザ発振特性を系統的に調べる。極性面および非極性面のレーザ発振特性を比較し、発光物理の解明を進める。近視野像(NFP)/遠視野像(FFP)から、LEDの放射パターン、レーザ構造における活性層の光閉じ込めを実測し、計算との比較により、AlN系深紫外LEDおよびLD構造の設計と作製を加速させる。 c-BNにおいては、半導体デバイス応用を目指し、さらなる高品質化、大面積成長、ドーピング制御を進める。イオン照射に由来する歪導入のメカニズムを解明してc-BNの高品質化を進める。デバイス応用に向けては、不純物ドーピングによる電気伝導性制御を試みる。
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Research Products
(11 results)