2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25246037
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
八木 健彦 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 特命教授 (20126189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 徹 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 教授 (00291500)
奥地 拓生 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (40303599)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄水素化物 / 地球コア / 軽元素 / 高圧 / 中性子 |
Research Abstract |
本研究は地球生成期において集積した隕石に含まれるケイ酸塩と鉄、および水が反応することによって、鉄中に水素が取り込まれ、それが現在の地球コアにおける軽元素の存在につながっているのではないかという仮説を検証するために、同様の反応を新しく建設したJ-PARCのPLANETビームラインで高圧下の中性子回折実験により直接観察し、このような反応により取り込まれる水素量を定量的に明らかにしようとするものである。 本年度はJ-PARCのPLANETビームラインで実験を行うために必要とされる試料構成の開発と、それを用いた予備的高圧中性子回折実験、および相補的な情報を得るための、高圧X線イメージング実験を行った。今まで5GPaという高圧下で1800Kという高温まで試料を加熱し中性子回折実験を行うことは技術的にきわめて困難だったが、PLANETの建設と今回開発した試料構成の組み合わせにより、このような実験を実際に行うことが可能になった。このことは今回の研究だけでなく、地球科学、材料科学、物質科学など広い分野におけるさまざまな研究に対しても、新しい研究のプローブが可能になったという意味でも重要性を持つ。本研究の目的に関しては、まだ研究途中の段階でありまとまった結論を出すには至っていないが、この技術開発により確実に成果を挙げられるめどがついた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り高温高圧下でFe-SiO2-Mg(OH)2を反応させてFeHxと鉄が入ったケイ酸塩を生成させ、できたFeHxの中性子回折実験を行える実験技法の開発に成功した。ただ当初予定されていた2013年夏のマシンタイムは、J-PARCに置けるハドロン事故のためすべてキャンセルされ、高温高圧下での中性子回折実験は2014年3月に初めて行うことができた。期待した通りPLANETビームラインの性能はきわめて高く、高圧下としては従来に無い高品質のデータを取得することができたが、圧力が予定したものより少し低く、生成した鉄は大部分がbcc相になっていたため、まだ地球深部における反応を議論するデータは取得できていない。しかし初年度としては、ほぼ予定通りの進行具合である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の予備実験では圧力が加熱後予定より低くなり鉄のbcc相が生成したので、今年度は実験手順や試料構成を少し手直しして、より高圧でdhcp相が生成する技術を確立し、実験を行う。それと共にJ-PARCだけでなくPFを使ってのX線実験も平行して行い、中性子とX線による両方の情報を組み合わせて、より確度の高い議論ができるように研究を進めていく。
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Research Products
(8 results)