2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ秒時間分解・超高速ピクセルアレイX線検出器の開発
Project/Area Number |
25246040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岸本 俊二 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (00195231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 真伸 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授(Professor) (00222117)
足立 伸一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授(Professor) (60260220)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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Keywords | シリコンアバランシェフォトダイオード / 放射光X線 / ピクセルアレイ / 時間分解X線実験 / 核共鳴散乱 / マルチチャンネルスケーリング |
Research Abstract |
(A)X線センサーとして128ピクセルSi-APDリニアレイを製作。ピクセルサイズはH100×V200μmと縦方向を大きくしたH100×V400μmの2種類とした。静電容量を現有アレイと同じにして高速応答特性を維持する場合と静電容量4倍で応答特性が不利になるリスクはあるもののセンサー受光面積を広げる場合の両方をテストするためである。製作は浜松ホトニクスに依頼した。ピクセル間ギャップ:50μm(H方向:19mm)、空乏層厚:10μmは既存素子と同じとした。 (B)高計数率・時間分解計数のためのASIC(Application Specific IC)、FPGAを用いた128ch入力MCS回路系の設計検討、単一Si-APDによるアナログメモリセル(AMC)回路のテストを準備。2nsごとの入射X線パルスを重なりなく、ほぼ完全に分離できる時間分解能0.7ns達成のため、サンプリング時間0.5ns,64ch入力MCS回路系の設計を進めた。AMCによるnsecオーダーの高速波形サンプリングを行うため、サブミクロンCMOSプロセスを使用した100MHz-12bitADCチップを製作した。高速・高密度化実装のため、TSV(Through Silicon Via)等の技術適用可能性を実際の回路を試作して調査した。ワイヤーボンディング不要になりインダクタンスの影響が抑えられると共に配線長1mm以下になるため浮遊容量も大幅に低減できることが実証できた。 (C)高速シンチレータ製作およびファイバー型シンチレータのテストを実施。X線エネルギー67.4 keVとして、ファイバー型無機シンチレータの発光強度、波高分布測定を実施した。~3x3xt1mmのCe添加GdAlO3シンチレータを使ってテストした。X線ビームなしでも数百cps以上の残光が見つかり高速シンチレータとしての要求を満たせなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
128ピクセルのSi-APDリニアアレイの製作を進めることができた。1ナノ秒をきる時間分解能を達成するための0.5ナノ秒サンプリングによるマルチチャンネルスケーリングシステムの準備も進んだ。AMC回路はまだ製作できていないが、その基礎となるADC回路、配線方式の検討は進んでいる。高速シンチレータはまだ特性試験の段階であり、実用レベルの特性が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
(A)128ピクセルSi-APDリニアレイの性能評価を進めるとともに、0.5nsサンプリングMCS回路系のテストを行う。H25年度に製作した128ピクセルのSi-APDリニアアレイのピクセル内計数分布(検出効率)やAPD増幅度、時間分解能などをアナログ回路系により放射光ビームを使って調べる。時間分解能0.7ns達成のため、0.5nsサンプリングが可能な64チャンネル入力のMCS回路テストボードと64ピクセルのリニアアレイを使ってシステム性能をテストし、128チャンネルのシステムに拡張するための知見を得る。 (B)単一Si-APDによるAMC回路のテストを実施する。: H25年度ではAMC構成回路および実装技術の改良試験を行ったが、X線によるAPD出力パルス波形記録のテストを行うにはいたらなかった。そこでH26年度は単一Si-APD(直径1mm、空乏層30μm)を接続できるように設計されたAMC基板を製作して放射光X線ビームによるAPD出力パルス波形記録のテストを行う。 (C)高速シンチレータとして重元素(ビスマス、鉛など)ナノ粒子プラスチックシンチレータの製作・テストを実施する。H25年度に続き、核共鳴散乱実験の対象核種であるNi-61(67.4 keV、半減期:5ns)の場合に、厚さ1mmのときの検出効率:>10%(市販の鉛添加PLシンチと比べ3倍以上)、発光寿命は2ns以下、発光効率:>10%(NaI:Tl比)が得られることを目標として、薄くても検出効率が確保でき、かつナノ秒で応答できる高速なシンチレータの探索・開発とSi-APDを受光素子として用いるシンチレーション検出器プロトタイプの開発を進める。
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Research Products
(5 results)