2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25247008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
利根川 吉廣 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80296748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高坂 良史 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (00360967)
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (40232227)
神保 秀一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80201565)
水野 将司 日本大学, 理工学部, 助教 (80609545)
山田 澄生 学習院大学, 理学部, 教授 (90396416)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2018-03-31
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Keywords | 平均曲率流 / 変分問題 / 極小曲面 / 幾何学的測度論 / 特異点 / 正則性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平均曲率流は、研究課題名にもある動的幾何問題の中でも最も重要な問題のひとつであり、近年国内外で活発な研究が行われている。研究代表者は特に平均曲率流が特異点を持つような、一般化された枠組みでも定義できることに着目し、幾何学的測度論の概念を用いて定義されるBrakkeの平均曲率流の解析についての研究を進めている。今年度も昨年度に引き続き、主としてそのBrakkeの平均曲率流に注力して研究を進めた。研究実施計画にある3つの項目について以下の研究実績を得た。 (a)特異点集合解析 Wickramasekeraとの共著で、1次元のBrakke曲率流の3重点周りにおける正則性を証明した論文を完成した(現在査読中)。3重点は曲率流で最も簡単かつ安定であるためよく観察される特異点である。幾何学的測度論の枠組みで平均曲率流の動く特異点の正則性が証明されたのは初めてである。この結果によって、どのような解の存在を示すべきか、明確な方針が立ったという意味でも意義がある。 (b)境界正則性 昨年度に水野将司との共同研究で、Allen-Cahn方程式の極限としてのBrakkeの境界条件付きの平均曲率流の存在を証明したが(論文はSIAM Journal of Math. Anal.に出版受理)、境界近傍での正則性理論のための準備的な研究を行った。 (c)存在定理 Lami Kimと共同で、Brakkeの存在定理を全般的に見直し、余次元1の場合について非自明なBrakkeの解が存在することを証明するための様々な計算を行った。これは問題意識として、Brakkeの構成方法では構成された解が自明であることを必ずしも否定できないこと、またBrakkeの証明がその重要性にも関らずそれ以降全くレビューされずになっているためである。準備的な計算はほぼ終了することができ、27年度中に論文完成を目指せるところまできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特異点解析についてはWickramasekeraとの共同研究で、一次元の場合ではあるが一定の成果ができたこと、またこの結果によって(c)で挙げた存在定理に対する明確な方針が立ったこと、そしてLami Kimとの共同研究でその存在定理の証明の道筋が大体見えてきたことなどが、おおむね順調に進展していると判断する理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進展しており、引き続き鋭意努力して研究に注力することはいうまでもないが、特に27年度はフーリエ研究所において、若手研究者向けに幾何学的測度論を主題とした研究集会の連続講演をする予定であり、より幾何学的測度論を用いた動的幾何問題への興味を優秀な若手研究者に喚起できるものと思われる。これらは平成28年度に計画している国際研究集会にも資するものである。
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Research Products
(9 results)