2015 Fiscal Year Annual Research Report
遠赤外[CII]輝線の高解像度広域マッピングによる大質量星形成環境の理解
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25247020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金田 英宏 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30301724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大薮 進喜 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10396806)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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Keywords | 遠赤外線 / [CII]輝線 / 星形成 / 気球観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
インド・ハイデラバード気球観測所において、一階電離炭素スペクトル線[CII]を用いた大質量星形成領域の観測を行う。そのために、分光器および検出器の準備を進めた。
これまでに使用してきた液体ヘリウムクライオスタットの冷却性能に不具合が生じたため、新しいクライオスタットを急遽、整備し、内部にインストールされた全ての機器コンポーネントを移し替えるという作業を実施した。その後、観測器の赤外線感度・スペクトル分解能・視野測定などを評価した。最終的に良好な性能が得られ、計画通りの観測が可能であることを確認した。平成27年度2-3月期に観測する予定で準備を進めたが、インドチームと協議した結果、出荷や現地作業などにかかる時間を考えると間に合わないと判断し、平成27年度の観測は断念することとなった。3月にハイデラバードのタタ基礎研究所を訪問し、平成28年度の観測準備計画および観測内容について、現地の技術者および科学者と議論を重ねた。
平行して、観測計画の立案、およびデータ解析ツールの準備を進めた。大質量星形成領域について、赤外線天文衛星「あかり」の中間赤外線・遠赤外線の全天データを用いて、観測候補天体を網羅的に調べ、それらの赤外線特性などについて議論した。その成果、および関連研究の成果を査読付き論文で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度後半に真空リークのトラブルを起こした液体ヘリウムクライオスタットの修理を進め、冷却実験を繰り返し実施したが、その過程で再び不具合を起こし、スーパーリークと呼ばれる現象が見られた。これ以上の修復は不可能と判断し、このクライオスタットを使用することを断念し、新しいクライオスタットを急遽、整備した。内部にインストールされた機器コンポーネントの全てを、新しいクライオスタット内へ移し替えるという作業が発生した。その後、急ピッチで準備を進め、出荷前の性能評価はほぼ全て完了したが、平成27年度中に発送して現地で観測を実施するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
インドチームとの議論の結果、平成28年度は、物品の発送を8月に行い、9月に現地にて望遠鏡とのフィットチェック、11月に気球フライト、大質量星形成領域の[CII]マッピング観測を行うというスケジュールで進めることとなった。そこで、発送前に光学系と検出器の最終性能評価、およびクライオスタットの冷却性能評価を繰り返し行って、健全性を確認する。なお、11月の観測に成功すれば、2月にもう一度、気球観測を行う予定である。
遠赤外線Geアレイ検出器(5x5フォーマット)の開発を平行して進める。まずは確実に単素子の検出器を用いて観測を成功させたのちに、アレイ検出器に置き換えるという計画である。しかし、昨年度の不具合による観測計画の遅延により、今年度中にアレイ検出器を用いた観測へと進むことは困難となった。ただし、技術的な拡張は単純であり、また、インターフェース調整も既にインド側と議論を重ねている。来年度にアレイ観測へ継続することに関して、インド側とは了解を取れており、そのための準備も平行して進める。
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Research Products
(5 results)