2014 Fiscal Year Annual Research Report
第四紀環境変動に対するサンゴ礁・サンゴ礁生態系の応答の解明(COREF計画)
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25247083
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井龍 康文 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00250671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 時幸 秋田大学, 工学資源学研究科, 教授 (60241668)
松田 博貴 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80274687)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 第四紀 / サンゴ / サンゴ礁 / 琉球列島 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,トカラ列島の小宝島で5孔(Hole 2A,Hole 2B,Hole 2C,Hole 2E,Hole 2F)の掘削を行なった.Hole 2A,Hole 2B,Hole 2Cは島の北西側に位置し,NE-SW方向に伸びる海岸線に直交する測線上にあって,北西季節風の影響を受ける.これらの3地点では,16m~25m(基盤岩を含む)が掘削された.得られた完新統サンゴ礁堆積物には複数の不整合面が認められた.これに対して,Hole 2EおよびHole 2Fは島の北側に位置し,前記3孔と同様にNE-SW方向に伸びる海岸線に直交する測線上にあるが,南東季節風の影響を受ける.これらの2地点の完新統サンゴ礁堆積物は著しく薄く,掘削深度は9m~10m(基盤岩を含む)であった.完新統サンゴ礁堆積物は,全般的に多孔質で,未固結堆積物よりなる部分があるため,良好なコア試料が得られず,岩片化した部分があったのは残念であった. 平成26年度に与那国島および本部半島・古宇利島で得られたコア試料中の造礁サンゴ化石群集の予察的検討結果を行なった結果,緯度による群集組成の変化は認められたものの,同一地点における時代による群集組成の変化は,ほとんど認められなかった.これは,非常に重要な知見であり,今後の研究における検証すべき作業仮説とする. また,平成26年度には,平成25年度に投稿した,海草藻場における堆積作用に関する論文,太平洋およびインド洋における過去1,400万年間の海洋環境変化(富栄養化)に関する論文が,それぞれ受理,受理・印刷済となった.また,伊良部島の造礁サンゴ化石群集に関する論文,黒潮および対馬海流の地史に関する論文をまとめ投稿した(前者は受理,後者は査読中).これらには,琉球列島のサンゴ礁・サンゴ礁生態系の地史を考察するうえで非常に重要なデータが含まれており,本研究の重要な成果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り,平成25年度には与那国島と本部半島・古宇利島の掘削が,平成26年度には小宝島の掘削が完了した.いずれの年度も,全国的なドリラー(掘削技術者)の不足により,掘削の実施が年度の終わり頃となり,年度内に試料の十分な検討が行えないという問題が生じてしまった.しかし,平成25年度の掘削試料は,平成26年度の始めに検討することにより,研究をほぼ予定通りに進めることができた.よって,小宝島の試料も,平成27年度の始めに速やかに検討し,研究を大きな遅滞なく進めるつもりである. 掘削と同時進行で進めるべき必要がある,サンゴ礁地質学的観点で調査が行われていない琉球層群分布域の地質に関しても,ほぼ計画通りに進行している.平成25年度に地表踏査が完了した多良間島の琉球層群に関しては,平成26年にマイクロファシスの検討を完了し,現在,論文として取りまとめを行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,国際陸上科学掘削計画(ICDP)の経費を用いて,徳之島で5孔の掘削を行なう.平成27年度の後半~平成28年度の前半に,これまでに掘削されたコア試料を集中して分析するサイエンスパーティーを実施する.よって,サイエンスパーティーまでには,その後のコア試料の分析に必要なデータを論文としてまとめておく必要がある.よって,平成27年度の前半~中盤には,徳之島の掘削と並行して,既存未公表データの論文化を精力的に進めたい.また,サイエンスパーティー後には,琉球列島のサンゴ礁堆積物のモノグラフを本プロジェクトのまとめとして出版する計画なので,こちらの準備も着実に進めておきたい. また,平成27年9月には,藻類化石の専門家を集めて,「第11回国際化石藻類学会」を沖縄で開催する.その際,本プロジェクトの概要を説明し,これまでの研究成果を議論する予定である.
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Reply to the comment by Granier on ‘‘Early Aptian paleoenvironmental evolution of the Bab Basin at the southern Neo-Tethys margin: Response to global carbon-cycle perturbations across Ocean Anoxic Event 1a’’.2014
Author(s)
Yamamoto, K., Ishibashi, M., Takayanagi, H., Asahara, Y., Sato, T., Nishi, H. and Iryu, Y.
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Journal Title
Geochemistry, Geophysics, Geosystems
Volume: 15
Pages: 2091-2094
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Preservation of ichnocoenosis in present-day macroid, algal nodule and rhodolith beds (S. Japan, E. Australia, S. Spain): Palaeoecological inferences.2014
Author(s)
Bassi, D., Braga, J. C., Iryu, Y., and Takayanagi, H.
Organizer
The 7th International Meeting on Taphonomy and Fossilization
Place of Presentation
フェラーラ(イタリア)
Year and Date
2014-09-10 – 2014-09-13
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[Presentation] Late Holocene reef development in French Polynesia.2014
Author(s)
Hallmann, N., Camoin, G., Eisenhauer, A., Vella, C., Samankassou, E., Botella, A., Milne, G.A., Fietzke, J., Dussouillez, P., Plaine, J., Iryu, Y.
Organizer
The 19th International Sedimentological Congress 2014
Place of Presentation
ジュネーブ(スイス)
Year and Date
2014-08-18 – 2014-08-22
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