Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 一将 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生物多様性研究分野, 主任技術研究員 (10359177)
フレデリック シニゲル 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 協力研究員 (10625940)
豊福 高志 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生物多様性研究分野, 主任研究員 (30371719)
白石 史人 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30626908)
力石 嘉人 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 生物地球化学研究分野, 主任研究員 (50455490)
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,堆積物―水境界(SWI)における生物地球化学循環を現場観測,室内実験,遺伝子解析を通じて把握し,微生物による化学勾配の動態変動からその機能を明らかにすることを目的としている. 超深海におけるSWIの環境動態を理解するべく,世界で二番目に深いトンガ海溝で採取した堆積物コアの解析を行った.過剰鉛210Pbexプロファイルは,表層から22cmまで一様な濃度を示した.一方,表層の210Pbex濃度は,他の超深海に比べ著しく低かった.堆積物表層の映像を解析した結果,内生性マクロベントス類は確認されてない(Wenzhoefer et al., in prep.). SWIの化学勾配変動は,そこに生息する有孔虫の殻に記録される.記録媒体である有孔虫の石灰化機序を理解するために,石灰化時の有孔虫周囲のpHおよびCa濃度分布を計測した.石灰化中の有孔虫の内外で非常に大きなpH勾配の存在が明らかになった(Toyofuku et al., subm.).またSWIにおける有孔虫の活動を把握するために,実験室で底生生物を含む表層堆積物を再堆積させビデオ観察を行った.圧密しつつある堆積物中を線虫やコペポーダなどとともに,有孔虫が堆積物中をゆっくりと跡を残しながら移動していく様子が見て取れる.今後現場での顕微鏡観察を組み合わせ,in-situでの石灰化プロセスなどを理解する. 多様なSWI動態を把握すべく,日本海溝,トンガ海溝およびマリアナ海溝の堆積物について環境DNAを分析し超深海海溝の類似性について検討した.ブラジル沖で発見された鯨骨生物群集については、生態系の詳細および微生物生態系を報告した(Sumida et al., 2016, Lima et al., subm.).鯨骨生物群集は南大西洋では初めての発見であった.鯨骨生物群集の周辺の堆積物にはクジラ由来の有機物が豊富に検出された.
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