2013 Fiscal Year Annual Research Report
複核N-混乱ヘキサフィリン錯体の合成、物性、反応性に関する研究
Project/Area Number |
25248039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古田 弘幸 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40244157)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | 複核金属錯体 / 拡張ポルフィリン / 近赤外 |
Research Abstract |
1.一重N-混乱及び、二重N-混乱ヘキサフィリン、ヘキサコロール配位子の効率的合成法の検討:従来、ヘキサフィリン合成はトリピラン同志の[3+3]環化縮合反応で合成していたが、収率が低い(<10%)という問題点があった。そこで、最近見出したPd(II)金属が誘起する混乱転移反応機構を詳細に検討した。シス体の二重混乱体のみが生成したことから、トランス体は従来の[3+3]環化縮合反応を用い、酸化反応の前のヘキサフィリノーゲンのf段階で一旦GPCカラムにより分離することで反応効率の向上を試みた。また、ヘキサコロールの合成に関しては前駆体ヘキサピランのモノアシル体から合成する[6+0]環化法に関しても、酸触媒や鋳型アニオンの種類などの反応条件を種々変えて反応を行い、10%の収率向上に成功した。 2.一重N-混乱及び、二重N-混乱ヘキサフィリン、ヘキサコロール二核金属錯体の合成検討:合成したヘキサフィリン配位子により剛直性を与えると期待されるPt(II)金属イオンの挿入を試みた。単離に成功したトランス体においては1800 nm付近に吸収があることが判明し、また、メゾアリール基の回転が比較的遅いことが、19FNMRのスペクトルの様子から明らかとなった。Pd体と比較し、400 nm以下の吸収がPd(II)よりも以上に大きいことが明らかとなった。発光スペクトルにおいては Pd(II)錯体において1200 nm付近に観測されたことから、高いエネルギー準位からの輻射の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付が10月だったことことから、装置購入も含め、立ち上げが当初予定より遅くなった。そのため、当初計画にあった複数の金属錯化に用いる金属の種類に幅をもたせる実験が当初計画ほど進んでいない。その他のリガンド合成に関しては、当初計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画にそって、複核錯体の合成を精力的に行い、発光特性、磁性特性を含む物性評価を確実に行っていく。特にコバルト二核錯体については購入した回転ディスク電極を用いて、その酸素還元能を評価し、二核化の効果について検討する。
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