2014 Fiscal Year Annual Research Report
複核N-混乱ヘキサフィリン錯体の合成、物性、反応性に関する研究
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25248039
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古田 弘幸 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40244157)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | 複核金属錯体 / 拡張ポルフィリン / 近赤外 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)二重N-混乱型ヘキサコロール配位子の合成とパラジウム金属錯化に関する研究 N-混乱トリピランを起点として二重Nー混乱ヘキサピロールを合成した後、DDQを用いた酸化的分子内環化により、標的の縮環型ヘキサフィリンを合成した。その後、パラジウム金属イオンと反応させ、2核金属錯体へと導いた。単結晶X線構造解析により、2個のパラジウムイオンが環内に配位していることが明らかとなったが、その価数は当初期待した、異なる配位環境を反映した酸化数Pd(II,III)ではなく、パイリガンド(L)から1電子、金属側に移動した、Pd(II,II)L(+)であることが判明した。ESRや磁化率の物性データもこの電子状態を支持 しており、拡張混乱コロール骨格が有機ラジカルの安定化に大きく寄与することが明らかとなった。 2)ノンオキソ型二重N-混乱ヘキサフィリン二核金属錯体の合成と物性評価 二重N-混乱ヘキサフィリン(N2CH)は二つの混乱ピロール環を有する環拡張ポルフィリンの一種であり、そのピロール窒素原子の相対配置によりcis型 (NNNN,NNCC) 及びtrans型 (NNNC,NNNC) の金属配位場を提供する特異な配位子である。cis型のN2CHにPd(II)が2個配位した二核金属錯体(cis-Pd2N2CH)の合成に成功し、1500 nm付近の近赤外領域に光吸収特性を示すことが明らかとなった。さらに同族のPt(II)のcis型及びtrans型の種々の二核金属錯体を合成し、そのX線構造、光学特性について検討し、1700 nm以上に吸収帯が存在することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘキサフィリン配位子(オキソ型、ノンオキソ型、縮環型)の合成について、いずれも成功しており、収量も良い。また、金属錯体についてはいづれ単結晶X線構造解析により、存在が明らかになっており、化合物合成の段階はクリアーできた。
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Strategy for Future Research Activity |
物性測定のうち、特に磁化率については錯体を多量に必要とすることから、合成収率の改善が望まれる。幸い、ラジカルにもかかわらず安定性が高かったことから、長期保存に耐えうることが明らかとなり、当面の物性測定には繰り返し合成により対応を試みる。また、低温での電解ESR測定を試み、配位子から金属、金属から配位子への電子移動の効率の詳細について検討を行う予定である。
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