2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25248045
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| Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
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Principal Investigator |
堀田 収 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (00360743)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 兼一 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (00346115)
山雄 健史 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (10397606)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 有機・無機ハイブリッド / 有機レーザー / レーザートランジスタ / 狭線化発光 / 回折格子 / 集束イオンビーム / 干渉露光 / ナノインプリント |
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| Outline of Annual Research Achievements |
有機半導体と無機半導体とをナノメートル・スケールでハイブリッド化し、有機デバイスの発光性能の飛躍的な向上を目的として研究を進めた。レーザートランジスタ（LT）の創出に主眼を置き、未踏課題であった有機レーザーの開発によるブレークスルーの達成を図る。
当年度は以下の成果を得た。①基板に積層したアルミニウムドープ酸化亜鉛（AZO）薄膜上に、集束イオンビーム装置により平行した直線の溝からなる1次元回折格子を掘削した。イオンビームの絞り径や線密度を調整し、異なる周期をもつ回折格子を作製した。その上に昇華再結晶法で成長した有機結晶を貼り付けた。回折格子の溝に垂直な方向を基準とし、基板面に平行に放射される発光の角度依存性を詳細に観測した。発光スペクトルは複数本の狭線化したピークからなり、観測角度の変化に伴ってこれらのピークが長波長または短波長にシフトした。同じ回折次数をもち両方のシフトを示す一組の発光線は、角度０度において光学ギャップを示した。
②スピンコート法で基板上に製膜したフォトレジストをレーザーの干渉により露光し、1次元回折格子を作製した。その上に有機結晶を貼り、同様に発光スペクトルを観測した。発光スペクトルは狭線化したピーク（半値全幅3 nm未満）を示し、光増幅と見られる発光強度の増大を示した。
③有機結晶に酸化ケイ素と酸化タンタルからなる誘電体多層膜を配備したデバイスをレーザー光励起して、面発光の結晶面法線に対する角度依存性を観察した。スペクトル位置のシフトを解析し、光子と励起子の相互作用によるポラリトンの生成を強く示唆する結果を得た。
④AZO薄膜上に有機結晶を貼り付け、有機結晶に対して3酸化モリブデンおよび炭酸セシウムをそれぞれ、ホールおよび電子注入極に用いてトランジスタデバイスを作製した。ホールおよび電子の注入効率を高めた結果、デバイスから強い電流励起発光を観察した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機半導体もしくは有機結晶と光キャビティーとをナノハイブリッドさせたデバイスにおける狭線化発光、特に発光スペクトルのピーク位置および強度の角度依存性は、これまでいくつかの報告があるものの、明快なデータ解析・解釈が行われなかった。様々な周期の回折格子を作製し、有機結晶からの狭線化発光の特徴を詳細に観測した本研究の成果は、レーザーデバイス開発という応用の側面だけでなく、その現象解明に向けた手がかりを提供する基礎学問的に非常に重要なものと考える。また、有機結晶と誘電体多層膜からなるデバイスにおけるポラリトンの生成はキャビティ内での光の強い閉じ込めを意味し、有機レーザーデバイスの開発において大きな意義をもつ。
一方、レーザーの創出には、デバイスへの電極の形成と電流注入発光が必要不可欠である。有機結晶とAZO薄膜を組み合わせたデバイス、および有機結晶と誘電体多層膜を組み合わせたデバイスにおける電流注入発光の観測は、本研究が目標達成に向けて確実に前進していることを示す。
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| Strategy for Future Research Activity |
当年度、AZOやフォトレジスト上に回折格子を精密に設計・構築して光キャビティーを組み込んだ有機結晶に関して狭線化発光スペクトルを観察し、観測角度に依存したスペクトル位置のシフトや光学ギャップの発生を明らかにした。有機結晶と誘電体多層膜からなるデバイスにおけるポラリトンの生成と併せて、これらのスペクトル解析の結果は本研究のデバイス構造が光閉じ込めを有効に生じさせることを明確に示す。
AZO回折格子や誘電体多層膜と組み合わせた有機結晶デバイスに正孔・電子注入電極を形成して電流注入発光を実現した。しかしながら、これまでのところ光励起によって観測した狭線化発光を電気デバイス上で確認することに成功していない。今後、これらの有機デバイス設計および作製技術をさらに改良してレーザーデバイスのプロトタイプを構築する。特に、ホールおよび電子の注入効率をさらに高めて、電流励起光増幅と光閉じ込めを実現し、目標達成につなげる。
これまで用いてきた高い光電子機能を発現する材料である（チオフェン/フェニレン）コオリゴマー（TPCO）はその分子末端に置換基を付与することで、結晶構造や溶解性が劇的に変化する。このことをデバイス創製へ結びつけるための結晶成長法を開発する。
以上、研究代表者らが有する材料技術、デバイス技術を最大限に組み合せて有機レーザー創出というブレークスルーを達成したい。
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[Journal Article] Optically pumped lasing from single crystals of a cyano-substituted thiophene/phenylene co-oligomer2014
Author(s)
Hitoshi Mizuno, Takuro Maeda, Hisao Yanagi, Hiroyuki Katsuki, Mauro Aresti, Francesco Quochi, Michele Saba, Andrea Mura, Giovanni Bongiovanni, Fumio Sasaki, and Shu Hotta
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Journal Title
Adv. Opt. Mater.
Volume: 2
Pages: 529-534
DOI
Peer Reviewed
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