2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25249020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 浩一 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (80228410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 幸太郎 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20370116)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | 制御機器 / ビジュアルサーボ / オプトジェネティクス / 神経活動解析 / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生物の神経細胞活動を高い時間分解能で蛍光計測し、光刺激をリアルタイム制御する統合ビジュアルサーボ顕微鏡・リアルタイムソフトウェアを開発することである。分子遺伝学と光生理学の技術に基づいて、Ca2+ 濃度を発光強度に変換する蛍光タンパク質と、光刺激を感受して細胞内外のイオン交換を制御するタンパク質とを生体細胞に導入する。このような生物を非拘束状態で高速ロックオントラッキングして、神経活動状況と行動を同時に計測する。さらに、神経回路の状態に応じて回路の任意要素を選択的に光照射する。これにより神経回路に意図的な外乱を付与したときの行動の変化を調べることができる。 平成25年度はビジュアルサーボ顕微鏡に関連するソフトウェアとハードウェアの開発、プロジェクション装置の開発、匂い刺激制御装置の開発などに取り組むと同時に、それらの有効性の検証を行った。 橋本のグループでは、運動する線虫を追跡し、神経細胞を高倍率対物レンズの視野にキープすると同時に共焦点顕微鏡で複数の神経細胞位置を検出し、光刺激するシステムの開発に取り組んだ。木村グループの協力を得て、特定の神経細胞に蛍光タンパク質を導入した線虫系統を開発し、光刺激による行動変化を観察・記録することに取り組んだ。 木村のグループでは、ビジュアルサーボ技術と匂い刺激制御を組み合わせた統合型顕微鏡システム用いた神経活動の高精度解析の最適化を行った。 これらの統合開発により、匂い刺激濃度変化測定の時間遅れを測定し、従来の解析に反映する事で、秒単位で匂い濃度変化と神経活動および応答行動の対応させて解析することが可能になった。このような最適化を行ったシステムを用いて、忌避匂い濃度変化に対する2種類の感覚ニューロンの応答を解析した結果、それぞれ異なった時間情報の抽出方法が使われている事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
追跡型光刺激装置は、当初の計画を上回る完成度を達成している。ビジュアルサーボ技術、リアルタイム蛍光画像解析、追跡ソフトウェアなどは共同利用可能な状態である。本研究で目指す光刺激ビジュアルサーボ顕微鏡を用いた小動物の脳機能解析は、神経細胞1つ1つの活動を秒以下の時間分解能で高精度に解析した上で、ここから作製したモデルに基づき、行動中の線虫の神経活動を任意に操作する事が必要である。H25年度は、統合型顕微鏡システムの問題点であった秒以下での匂い制御を達成した事、またこのシステムを三次元計測に拡張することを開始した事によって、独創的かつ世界最高スペックのシステムへと引き上がる見込みができた。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度に橋本によって開発された光刺激制御系および取得された画像からの輝度抽出プログラムを用いて、調節性神経伝達物質による行動制御メカニズムを明らかにする。まず、線虫行動の自動追跡、およびoff-lineでのoptical flow trackingにより、行動時の調節性神経伝達物質を放出する複数の神経細胞の活動パターンを明らかにする。この結果に基づいて、これら神経細胞の活動パターンと行動変化とのモデルを作製し、このモデルを検証するために、optical-flowによる細胞認識技術で、独立の神経細胞の活動制御を行動中に行う。さらに、複数の神経細胞活動の三次元同時計測の最適化を行う。
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Research Products
(4 results)