2014 Fiscal Year Annual Research Report
高性能低環境負荷CF3Iガス絶縁方式の実用化に向けた発展研究
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25249028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日高 邦彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90181099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊田 亜紀子 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20313009)
松岡 成居 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10114646)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ガス絶縁 / CF3Iガス / 混合ガス / 管路気中送電 / 電気絶縁設計 / 地球温暖化対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
CF3I放電特性の研究の一環として、CF3I/SF6混合ガスを使用して絶縁破壊電圧-破壊遅れ時間特性等を取得した。その結果、CF3I/SF6混合ガスは準平等電界において、「負のシナジズム」を示した。一方で不平等電界において、正のシナジズムを示した。特に、CF3Iが20%~40%の混合率で、SF6を凌ぐ絶縁破壊電圧値になった。また沿面放電においては、CF3Iが混合されると副生成物の影響から絶縁破壊電圧が大きく下がることがわかった。 CF3Iを電力機器に実用化する際には、まず管路気中送電のような単純な形状のものがふさわしいと考えられる。そのような電力機器の絶縁媒体に適用するには、絶縁性能、飽和蒸気圧、液化温度、そしてGWPという観点から、総合的にバランスがとれた性質のガスが望ましい。CF3I/N2、CF3I/CO2、CF3I/SF6混合ガスを対象にこれらの観点からの数値化による簡易ランキング評価を行った。検討した混合比においてはN2、CO2の単体と並んで、それらにCF3Iを20%混合したものが電力機器への適用性が高いバランスがとれたガスであるという結果を得た。 絶縁スペーサ上を電極間に配置して、CF3I混合ガス中の沿面絶縁性能を体系的に評価した。その過程において、有機絶縁物スペーサ内部で発生するボイド放電やトリーイング現象と沿面放電進展との間に相互作用があり、その結果、システム全体の絶縁特性が低下する可能性が見出された。そこで、有機絶縁物内部のボイドやトリーを観測することを並行して行った。 具体的には不透明な充填剤入りエポキシ中の電気トリー可視化のためX線撮影装置を構築した。構築した装置を用いて、透明な充填剤なしサンプルを撮影し、トリーの太さ5µm程度までを撮影することに成功した。現時点では、充填剤入りエポキシサンプルでははっきりとトリーを捉えることができなかった。これは充填剤による影響が大きいと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電力機器の絶縁媒体に適用することを想定し、絶縁性能、飽和蒸気圧、液化温度、GWPという観点から、数値化による簡易ランキング評価ができるようになった点は、重要であり、機器絶縁の設計に向けての大きな一歩となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
CF3Iガスを利用した機器の絶縁設計において、必要不可欠な絶縁性能データの体系的取得を継続し、また、X線欠陥計測法を改良することにより、固体絶縁部の絶縁破壊の起点となるトリー進展の計測を推進して行く予定である。
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Research Products
(5 results)