2014 Fiscal Year Annual Research Report
地震のリスクマネジメントのための事前対応・事後対応に向けた構造モニタリングの展開
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25249062
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤野 陽三 横浜国立大学, 先端科学高等研究院, 教授 (20111560)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 橋梁 / リアルタイム / 損傷同定 / ウェーブレット解析 / 新幹線高架橋 / 長大斜張橋 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)新幹線高架橋PRC桁の振動モニタリング インフラ構造物は個別に設計施工され,地盤条件も場所により異なるので,その性能には個体性が高い.したがって,リスクマネイジメントの上から事前にリスクの高い高架橋を検出しておく価値は高い.現実に地震ではなく列車走行により振動問題が生じている新幹線高架橋PRC桁があり,その振動モニタリングを行い,振動データの整理,分析を行った (2)強震記録からのリスクマネイジメントのシナリオ作成 2011年3月11日東北地方太平洋沖地震ならびにその前震余震による横浜ベイブリッジの地震応答データをすべて入手し,その地震応答特性を明らかにすると共に,より大きな地震に対する損傷を検討し,それに備えたリスクマネイジメントを研究した. (3)事後対応としての応答記録からの損傷検知 地震モニタリングにおいて重要なことは応答記録から損傷の有無,程度,部位を明らかにすることである.そのためのリアルタイム損傷検知手法についてウェーブレット解析を用いた,損傷に関わる非線形現象の同定の研究を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)新幹線高架橋PRC桁の振動モニタリングでは,10に及ぶ桁を対象に計測を実施し,様々な環境下での振動データを収集した.共振特性と温度,列車速度,振幅などのパラメータをつかって分析した. (2)横浜ベイブリッジの2011.3.11前震,本震,余震による応答を詳細に分析し,1)これまでの中小地震では,端橋脚におけるエンドリンク主塔におけるタワーリンクと桁とが剛結状態(設計では想定しない条件)となっていたが,本応答解析を分析したところ,本震ではほぼヒンジ状態にあっていることが明らかになった.2)一方,橋軸直角方向の振動にはパルス上の応答が出ておりその発生原因を分析したところ,主塔の下にあるウインドーシューと桁との衝突であることが明らかとなった.3)この衝突を再現するための簡易モデルを構築しその衝突の再現に成功することができ,そのモデルによればレベル2程度の地震動が入力された場合ウインドシューが衝突により破損することが懸念された.破損すると桁と塔の衝突が発生することになり,これは斜張橋全体の安定性を著しく損なうことになる.終局的な状態でどのようなことが発生しうるかを検討ことはリスクマネイジメントの上からは重要なことであるとはっきりした. (3)リアルタイム損傷検知に関してはRC柱の振動実験データを入手し,ウエーブレット解析によるリアルタイム損傷検知の可能性を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
新幹線高架橋PRC桁に関しては,振動計測を必要に応じてさらに充実させ,共振発生のパラメータ,季節変動性などを明らかにし,適切な対策を検討する.これは振動モニタリングの有用性を示す一例として貢献すると思われる.長大斜張橋の終局地震応答特性についてはより詳細な構造モデルを構築し2011.3.11地震での応答の再現性を検討するとともにより強い入力であるレベル2地震動やそれを上回る地震動に対しての状況を予測し,その発生を検知するための地震時モニタリングシステムを考える.リアルタイム損傷検知に関してはさまざまな実験データを収集し,本研究で開発している検知手法の妥当性を明らかにする.
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