2015 Fiscal Year Annual Research Report
苛酷な疲労環境下にある鋼道路橋のモニタリングを活用した統合管理システム
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25249063
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
三木 千壽 東京都市大学, 総合研究所, 教授 (20016645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白旗 弘実 東京都市大学, 工学部, 准教授 (40298013)
佐々木 栄一 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40311659)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鋼橋 / 疲労損傷 / センサ / モニタリング / 診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,鋼道路橋の疲労安全性確保について,最新のセンシングおよびモニタリング技術を点検と診断に統合した維持管理システムを構築することを目的としている.疲労損傷の点検と評価のための情報プラットフォームの構築,疲労度診断に必要な要素技術開発,モニタリング加速度情報の変位への変換を行った. 1つ目の疲労損傷の点検と評価のための情報プラットフォーム構築では,データベース作成を行っている.収録した事例について,損傷原因別の分類,損傷原因と補修方法の組合せ,損傷原因別の損傷発見までの供用年数と損傷事例数との関係,溶接の不具合の種類と事例数の関係に関する分析を行った.また,上記データベースを応用して,Webブラウザを使って誰でも利用可能な疲労損傷点検教育ソフトを開発し,Web上に公開した. 2つ目の疲労度診断に必要な要素技術開発では,橋梁でき裂の発生しやすい箇所の一つである面外ガセット継手を対象として,渦流探傷試験により塗膜上からき裂を検出する検討である.スリット試験体および溶接試験体で実験を行った.プローブ位置と探傷器上のシグナルの位相の情報の表示を工夫することでき裂位置を示すわかりやすい表示方法を提案した. 3つ目の加速度の変位への変換では,平成26年度に選出した自己ノイズの低いセンサを使用した.実橋梁で波形を収録し,車両通過前と後の加速度が0であるように補間することで精度よく加速度データから変位データへの変換をすることが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加速度から変位データにするための研究はこれまでも行われているが,着目する帯域の影響を受け,困難も予想されたが,精度よく変換することができたことが予定より早く進んでいるといえる.橋梁の変形挙動の3次元可視化もすでに少しずつ始めており,横桁を抽出したモデルではあるが,うまくいっているので,拡張も容易に行えるのではないかと考えている.点検支援システムも当初予定したものができている.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度より構築したシステムを改良,拡張していく.具体的には下記の3項目となる. 1. Weigh In Motionの精度向上:車両重量推定のためのWeigh In Motionシステムについて,車両の通過位置を動画画像から正確にとらえられるような画像処理システムを構築する.橋梁の変形の3次元可視化もこれまでと同様,取り組んでいく. 2. 疲労損傷点検支援システムの開発:教育ソフトである疲労損傷点検シミュレータにおける疲労き裂のパターンを増やすことを検討している.データベースと関連して,詳細調査の方法,診断に必要な測定の方法,補修方法などの,点検・診断のためのマニュアルをWeb上に構築する予定である. 3. 疲労度診断に必要な要素技術開発:今年度も渦流探傷試験の精度向上を試みる.前年度はスリット試験体が中心であったが,今年度は疲労試験を行って,実際の疲労き裂に対して,探傷を行う.前年度と同様,プローブ位置読み取り装置からの情報と合わせた3次元き裂表示システムを完成させる.シグナルの位相とき裂の深さの関係など,傾向を読み取り,き裂検出の精度を向上させていく.
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