2014 Fiscal Year Annual Research Report
RC建物の津波浮遊物に対する衝撃耐力評価とその改善方法に関する実験的研究
Project/Area Number |
25249079
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 仁史 京都大学, 防災研究所, 教授 (20132623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敬 京都大学, 防災研究所, 教授 (00190570)
藤掛 一典 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 教授 (10532799)
河野 進 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30283493)
西山 峰広 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50183900)
鈴木 紀雄 鹿島建設株式会社(技術研究所), その他部局等, 研究員 (50416765)
坂下 雅信 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50456802)
宮川 豊章 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80093318)
渡邊 秀和 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教 (20620636)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 津波 / 漂流物 / RC造部材 / 衝撃 / 損傷評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では,津波による被害が東北地方沿岸部をはじめ広範囲に及んだ。建築物に対する被害では,木造建築物のみならず,従来津波に対して強いとされてきた鉄筋コンクリート造建物も甚大な被害を受けた。そこで,津波浮遊物に対するRC造建物の耐衝撃設計法の確立を目的に,想定される津波流速でRC造壁の衝突実験を行った。また,RC造壁の耐衝撃性能の改善方法や補強効果についての検討を行った。 2014年度は,どのような補強がRC造壁の耐衝撃性に有効なのかを検討することを目的として,津波浮遊物の衝突を受けるRC造壁を想定した縮尺50%のRC版20体による実験を行なった。無補強STDシリーズでは裏面剥離および貫通破壊をが確認できた。壁厚120mmのSTDでは,衝突速度が6m/sから9m/sまでの損傷が裏面剥離となり,9m/s以上では貫通破壊を生じた。補強を施した試験体では,エポキシ系樹脂補強を施した試験体PUA・PUTは,RC版の面外方向変位にともない補強材が大きく盛り上がった。炭素繊維補強を施した試験体FRP・FPAは裏面の補強材とコンクリートの間で層間剥離が生じ,最終的に貫通破壊を生じた。すべての補強方法で裏面剥離が生じず,貫通破壊に至る前まで補強面のコンクリート飛散を完全に防いだ。また,貫通破壊を生じる際の衝突速度はPUA・PUTで1.5m/s程度,FRP・FPAで5.0m/s程度上昇し,それぞれの補強による耐衝撃性の向上が確認できた。 また,昨年度および本年度試験体の実験結果を用いて,局部損傷評価式であるHughes式の評価精度について検証を行った。この時,材料試験結果にかかわらずコンクリート引張強度を1.76MPaと仮定してHughes式を使用すると,実験結果を安全に評価できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としては,おおむね順調である. 検証実験と解析の2つの分野について研究を進めた.実験に関しては順調に研究を進めているが,解析に関しては動的非線形FEM実験モデルの構築をおえ,実験結果を用いた検証を数体の試験体で行った.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,衝撃試験の実験変数を変化させ,実験と解析の2分野で研究を進める.特に,最終年度は実大構造物を対象にした寸法を有するRC壁の実験で,これまでの提案式および解析モデルの検証を行う. 実験では,試験体を実物レベルまで大型化させるため,実験変数を減らす.これまで2年間の実験結果で提案した損傷予測式の確認を中心に実験を行う.津波の流速は,時速数キロから数十キロであり,鉄筋およびコンクリートの歪速度による強度上昇は,通常の修正ケント・パークモデルと衝撃でよく用いられるKCCモデル の2つを使用して,数値モデル化を行う. 実験では,過去2年間に対象とした鉄筋コンクリート造壁の2~3倍に相当する200mm~300mmの壁を作製し,衝撃耐力試験を行う.安全性の観点から,防衛大学の実験施設を利用し,水平に寝かせたRC壁に自由落下する衝突体を当てる載荷方式とする.重錘は,鋼製先端を取り付けたものとし,これまでのように衝突時の荷重を測定するための工夫を施す.衝撃力の大きさは,衝突体の落下高さで調整し,被りコンクリート剥離の初期損傷から,貫通によるパンチングシア破壊に至るまでの経過を観測し,速度・変形・損傷状況を計測する.衝突時の破壊状況確認と衝突体速度の検証は,高速度ビデオカメラにより行う.実験の危険防止策については,引き続き防衛大学の技術指導を受ける. 解析では,LS-DYNAを用いた3次元有限要素解析を行う.これまでに構築した数値モデルを使って,大型試験体実験結果の再現を試みる.検討項目は,材料構成則(応力-歪関係,破壊局面)の妥当性,試験体部材モデルの妥当性,衝突速度の影響等である.衝撃速度の違い(準静的から600m/sまで)によるコンクリートひび割れの進展性状,破壊形式の違いを追跡した3次元有限要素解析結果を実験結果と比較し,解析モデルの妥当性を検 討する.
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