2015 Fiscal Year Annual Research Report
パルス高熱負荷によるタングステン材料の溶融・凝固挙動の解明と表面保護層の評価
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25249132
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上田 良夫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30193816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩章 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30311210)
帆足 英二 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40520698)
鈴木 哲 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 那珂核融合研究所, 研究員 (60354619)
Lee Heun Tae 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90643297)
伊庭野 健造 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80647470)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | タングステン / ディスラプション / パルス熱負荷 / 溶融挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
溶融層の挙動測定: パルスレーザー照射(波長1.06μm、最大6.4 GW/m2,0.6 mmのスポットサイズ)によるW試料の溶融とその挙動を観察するため、高速カメラを用いた立体視システムの設計と試験機の構築、2次元温度計測を行うためのシステム構築を行った。立体視システムにおいてはステレオ撮影法として、2視点からの光を同一カメラのセンサ上に並べて投影する試験機を構築した。撮影された画像をOpenCVによって解析し、立体視映像に変換するプログラムの開発を進めた。また、レーザー加熱領域の温度を放射温度計により測定し、また試料全体の温度を熱電対によって測定するして、レーザーエネルギー吸収率の温度依存性を求めた。 蒸気遮蔽効果のシミュレーションと実験: 従来の流体法と異なる粒子(PIC)法を用いた蒸気遮蔽効果のシミュレーションコード整備を行った。PICシミュレーションにおいては、OPEN-ADASライブラリを用いて、イオン化、再結合化反応をモンテカルロ法により、また、発光を一般化されたCollisional Radiative法を用いてモデル化した。流体法で扱うのが難しいシース領域について、粒子法を用いることでポテンシャル、温度、密度、マッハ数など各種パラメータし、プラズマ中不純物の発光で集中熱負荷が軽減される様子がシミュレーション可能となった。直線型プラズマ装置(PISCES(UCSD))で、高密度プラズマにさらしたWやBeをレーザー照射により蒸発させ、蒸気とプラズマの相互作用実験を行い、水素プラズマ中へのBe放出で到達熱負荷が大きく減衰していることを観測した。粒子シミュレーションコードによりこの現象がおおむね再現できることがわかった。現在は、Beの効果に関して更に検証すると共に、実験での検証が難しいW材料の蒸気遮蔽効果のPICシミュレーションによる検証を順次進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、研究予定がほぼ達成できているため、おおむね順調と判断した。 〇表面の温度測定について、まずスポットでの測定が可能となり、表面温度と溶融挙動の関連性について、系統的なデータの取得が可能となった。また、2次元での分布測定と2方向からのステレオ測定についても、基礎実験から可能性が確認され、次年度に実際の測定を行う基盤ができた。 〇高密度プラズマにさらしたタングステンやベリリウムをレーザーで溶融させ、プラズマへの影響を調べる実験を実施して、系統的なデータを取得できた。ベリリウムでは、蒸発量が多く、プラズマを冷却することで、蒸気遮蔽効果を確認することができた。蒸発タングステンのプラズマ影響についてもシミュレーションと対比できる基礎データを取得した。 〇溶融層とプラズマの相互作用をシミュレーションするコードについても、PIC法を用いた1次元計算コードを完成させて、シースがタングステンイオンの粒子挙動に与える影響を正確に評価できる様になり、従来の流体法に比べて、現象の評価がより正確にできる様になった。 〇実験結果とシミュレーション結果の対比をするための基礎データの取得とシミュレーションコードの整備を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究成果をベースとして、本研究の最終年度にむけて、現在の研究テーマをさらに進め、最終的な成果を得る。具体的には以下の様に研究を進める。 〇タングステン溶融層挙動の解明については、今年度開発した溶融層表面の2次元温度分布と表面形状を測定するシステムを用いて、レーザーによる熱負荷条件を系統的に変化させ、実験を行う。タングステン材料についても、純W、タングステン合金など変化させて、溶融層挙動の変化を明らかにすると共に、ダイバータ材料としての評価を行う。さらに、これらの実験データを、COP法等を用いて作成した金属溶融層シミュレーションコードの結果と比較して、特に沸点近傍における溶融層の物性値(粘性、表面張力、等)を初めて明らかにする。また、ダイバータ材料としてタングステン系材料を使用した場合に、そのディスラプション様熱負荷の影響を材料ごとに評価し、溶融後の凝固時において、再利用性の高い材料の探索を目指す。 〇蒸気遮蔽効果については、米国UCSDとの共同研究をさらに進め、プラズマのパラメータやレーザーエネルギーを変化させて、特にタングステンによる蒸気遮蔽効果のより詳細な実験データを取得する。さらに、粒子法(PIC法)を発展させ、粒子挙動や放射輸送についてより詳細な取り扱いを行うことで、実験データをより正確に再現できるようにする共に、ITERやDEMO炉のダイバータにおける蒸気遮蔽効果の初期的な評価を行う。さらに将来的には、強磁場の影響やダイバータの形状効果を正確に取り入れることで、トカマク装置における蒸気遮蔽効果を明らかにして、ディスラプションに対するダイバータの耐性を精度良く評価する。
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[Journal Article] Surface modifications on toughened, fine-grained, recrystallized tungsten with repetitive ELM-like pulsed plasma irradiation2016
Author(s)
Kikuchi, Y., Sakuma, I., Kitagawa, Y., Asai, Y., Onishi, K., Fukumoto, N., Nagata, M., Ueda, Y., Kurishita, H.
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Journal Title
Journal of Nuclear Materials
Volume: 463
Pages: 206-209
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Effect of temperature on microstructures and retention properties in tungsten exposed to D + He + Be mixture plasmas in PISCES2015
Author(s)
Iijima, N., Miyamoto, M., Nishijima, D., Baldwin, M.J., Doerner, R.P., Ueda, Y., Sagara, A., Hoschen, T.
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Journal Title
Journal of Nuclear Materials
Volume: 463
Pages: 979-982
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Surface morphology changes and deuterium retention in Toughened, Fine-grained Recrystallized Tungsten under high-flux irradiation conditions2015
Author(s)
Oya, M., Lee, H.T., Ueda, Y., Kurishita, H., Oyaidzu, M., Hayashi, T., Yoshida, N., Morgan, T.W., De Temmerman, G.
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Journal Title
Journal of Nuclear Materials
Volume: 463
Pages: 1037-1040
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Effect of surface damage on thermal response of tungsten monoblocks2015
Author(s)
Tanaka, Y., Lee, H.T., Ueda, Y., Nagata, M., Kikuchi, Y., Suzuki, S., Seki, Y.
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Journal Title
Fusion Science and Technology
Volume: 68
Pages: 433-437
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Systematic investigation of the formation behavior of helium bubbles in tungsten2015
Author(s)
Miyamoto, M., Mikami, S., Nagashima, H., Iijima, N., Nishijima, D., Doerner, R.P., Yoshida, N., Watanabe, H., Ueda, Y., Sagara, A.
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Journal Title
Journal of Nuclear Materials
Volume: 463
Pages: 333-336
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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