2014 Fiscal Year Annual Research Report
発達過程で聴覚を獲得するメカニズムに関する生理学的・分子生物学的研究
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25250002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小田 洋一 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00144444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂内 博子 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (40332340)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カリウムチャネル / 反回性回路 / 興奮性 / 単発発火 / マウスナー細胞 / 発達 / 網様体ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
硬骨魚の後脳分節に繰り返される網様体脊髄路ニューロン群が,発生直後は同じような興奮性を示しながら,発達とともに異なる興奮性を示す仕組みを調べてきた.対象としては,網様体脊髄路ニューロン群の中で最も巨大で逃避運動を駆動するマウスナー(M)細胞とその形態学的相同ニューロンの発火特性を調べてきた.これまでに,M細胞の特有の単発発火特性はM細胞に低閾値型カリウムチャネルKv1.1の発現が必要でることを見出した(J. Neurophysiol. 2014).M細胞の単発発火の達成には,もうひとつの低閾値型カリウムチャネルKv7.4の発現と,M細胞にしかない反回性抑制回路の形成がキィであることを今年度見出し,詳細に解析した.Kv7.4の発現過程とKv7.4チャネルの電気生理学的性質を解析し,さらにCRISPR-Cas9システムによりKv7.4遺伝子欠損個体を作成した.反回性抑制回路については,これまで不明であった介在ニューロンが後脳に繰り返されるT型網様体ニューロンの一部であることを見出した.2つの低閾値型カリウムチャネルがM細胞の単発発火特性に果たす役割については,論文にまとめ投稿する段階に至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網様体脊髄路ニューロン群の中でM細胞だけが単発発火するキィとなるメカニズムとして,ニューロン自身の膜特性としては2つの低閾値型カリウムチャネルの寄与を十分に理解し,論文のまとめる段階に至った.また,興奮性を決めるもうひとつの局所回路の寄与については,介在ニューロンをほぼ同定できた.
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Strategy for Future Research Activity |
M細胞の特異的な興奮性における2つの低閾値型カリウムチャネルの異なる役割に関する論文については,高いクォリティの英文科学誌に掲載する.8種類あるT型網様体ニューロンのうちM細胞自身の反回性抑制回路を中継するものと,われわれが見出したM細胞と他の網様体脊髄路ニューロン群との機能的モチーフ回路( J. Neurosci. 2014)を中継するものの違いを解析し,T型網様体ニューロンについても繰り返し構造の重要性を見出したい.
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Research Products
(14 results)