2013 Fiscal Year Annual Research Report
人工制限酵素を用いたゲノム編集技術の開発とその応用
Project/Area Number |
25250014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊川 正人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20304066)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 人工制限酵素 / 実験動物 / ノックアウト / 遺伝子組換え |
Research Abstract |
『目的』人工制限酵素という最新技術を申請者が得意とするレンチウイルスベクターやハプロイドES細胞などと組み合わせ、任意の遺伝子改変を可能にするオンデマンドゲノム編集システムを開発する。さらに開発した遺伝子組換え技術・動物を用いて、社会問題にもなっている不妊・不育のメカニズム解明を目指す。 『実施概要』本研究では、以下の2つを大きな柱にして研究を進めている。 I.オンデマンドゲノム編集システムの開発:DNA二重鎖切断と修復エラーを利用した標的遺伝子改変技術としてTALENを利用することとしていたが、2013年1月に新しい人工制限酵素としてCRISPR/Casシステムが報告された。そこで我々はCRISPR/Casシステムを導入するという方針転換を行い、その結果、ガイドRNA(gRNA)とCas9を発現するプラスミドをマウス受精卵の前核に直接注入することで、簡便かつ非常に効率よく遺伝子破壊マウスを作製するシステムを構築した。既に30系統を超える精巣特異的発現遺伝子のノックアウトマウスを作製しており、その手法を含めて論文報告している。 II.生殖不全マウスの重点解析:これらの手法で得られた遺伝子改変マウスについては、交配による妊孕性試験を行っている。その結果、Cetn1遺伝子、Prm1遺伝子を欠損するマウスは精子頭部奇形となり、雄性不妊となることを明らかにした。引き続き、解析を進めるとともに、残りのノックアウトマウスについても交配試験を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新しい人工制限酵素であるCRISPR/Casシステムの出現により、TALEとの比較実験などが必要となった。その結果、我々は早期での切り替えに成功し、CRISPR/Casを使った迅速ノックアウトマウス作製法の開発・発表に成功するなど、予想外の成果を得た。比較実験等で生じた遅れは、十分に取り戻せると考えている。 CRISPR/Casを用いた手法により、既に30を超える精巣特異的発現遺伝子のノックアウトマウスの作製にも成功しているだけでなく、精子の奇形や運動力低下、卵子との結合能力低下により雄性不妊となるマウス系統の樹立に成功しており、当初計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
TALEからCRISPR/Casシステムへの大幅なツール変更となったが、それ以外の計画についてはおおむね順調に進展している。むしろ遺伝子ノックアウトマウスや点変異マウスの作製が迅速・簡便になったことから、より個体レベルでの実験に重点をおいた研究を進める予定である。既に、精子奇形や、運動性低下を示すノックアウトマウスの系統を樹立しており、順調な進展が期待できる。
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[Journal Article] Feasibility for a large scale mouse mutagenesis by injecting CRISPR/Cas plasmid into zygotes.2014
Author(s)
Mashiko D, Young SA, Muto M, Kato H, Nozawa K, Ogawa M, Noda T, Kim YJ, Satouh Y, Fujihara Y, Ikawa M.
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Journal Title
Dev Growth Differ
Volume: 56(1)
Pages: 122-129
DOI
Peer Reviewed
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