2013 Fiscal Year Annual Research Report
RNAi依存性ヘテロクロマチンシステムと核膜による遺伝子発現調節機構
Project/Area Number |
25250022
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村上 洋太 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20260622)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クロマチン制御 / エピジェネティック制御 / 小分子RNA制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. RNAi依存ヘテロクロマチン形成における核膜でのsiRNA増幅場の解析 ① 核内膜タンパク質Lem2の欠損により、ヘテロクロマチン特異的ヒストン修飾であるヒストンH3Lys9のメチル化(H3K9me)が減少することを見いだした。しかし、H3K9meに結合するヘテロクロマチンタンパク質Swi6のヘテロクロマチン局在には影響がなく、ヘテロクロマチンによる遺伝子発現抑制も維持される。これは他のヘテロクロマチン因子変異ではみられない特異な表現型で、Lem2が果たす意義と分子機構に興味がもたれる。 ② siRNA増幅は転写と共役するが、その共役にRNAポリメラーゼⅡのCTDのSer7のリン酸化が重要である事を見いだし、そのCTDリン酸化特異的にRNAポリメラーゼⅡと相互作用する因子の探索をおこない、siRNAを含むRITS複合体がその因子であることを見いだした。RITSはCTDとの相互作用を通して、siRNA合成の基質となるRNAと結合し、そのRNAをクロマチン上にretentionし、それがsiRNA増幅の引き金となるという、全く新規の増幅モデルを提唱した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画した核膜局在siRNA増幅因子Dsh1の解析はその量の少なさもあり、進行が遅れているが、Lem2という核膜タンパク質の寄与という新発見があり、その遅れをカバーしていると言える。 また、CTDリン酸化によるsiRNA増幅場制御機構の解明は順調に進行しており、近日中に論文として成果を世に出すことができると思われる。 また、ヘテロクロマチンの核膜局在を観察するための人的ヘテロクロマチン形成系の確立をこころみているが、使用するRNAi依存ヘテロクロマチンを誘起するためのDNA断片がPCRで増えにくく、大腸菌内で不安定であるなどの、技術的問題が生じ、予定より遅れている。 以上を総合して(3)やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
1.成果のでつつあるLem2については、その生理的機能解明とヘテロクロマチン形成にどのように関与するか両面からの解析を展開する。 2. CTDリン酸化の機能については、RITS複合体が標的RNAをクロマチン上にretentionするメカニズムの解明に集中する。 3. 人為的ヘテロクロマチン形成系構築の障害であった技術的問題は克服されたので、この系の確立をおこない、ヘテロクロマチンを核膜に引き寄せる因子の探索をおこなう。
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