2013 Fiscal Year Annual Research Report
「個」のゲノム科学を実現するための統合的技術基盤の開発研究
Project/Area Number |
25250024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
藤山 秋佐夫 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 教授 (60142311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 武彦 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (90501106)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | 個体ゲノム / 新規変異 / 全ゲノム解析 |
Research Abstract |
解析モデルとして、飼育下にある野生由来両親と仔チンパンジー個体を選び、各個体由来のゲノムDNAについて大規模解析を実施した。目的は、(1)仔ゲノム中の父由来アレル、母由来アレルの配列を区別が可能な情報解析システムを確立し、(2)仔のゲノム配列を最大限分別すること、(3)仔のゲノムに新たに出現した構造変異部位を検出同定して検証まで行い、1世代あたりの変異率を正確に測定すること、(4)仔の細胞における父由来アレル、母由来アレルの発現状況をゲノムワイドに測定することである。 まず白血球由来の高分子DNAを3個体から抽出し、イルミナ社HiSeq2000/2500型シーケンサによる大規模ゲノムデータを取得した。生産したデータ量は、リードのカバー率>99.5%で約130x~150xのゲノム被覆率であり、これまでにこの深度と精度で変異率測定が行われた例はない。このデータから出発し、構造変異部位検出エラーを低減させるための各種のフィルターを工夫してデータ処理を行ない、初期新規変異箇所の候補についてさらにPCR/サンガー法シーケンスによる検証を行って最終的な結果とした。確認できた変異部位には、単純な塩基置換、欠失で説明できるものの他に、より大規模なアレルロスを示唆する部位も確認されており、ゲノムが本質的に不安定であることを示唆するものとして興味深い。また、仔細胞中での父方、母方アレルの発現量についても、おそらく相当程度の揺らぎのあることが示唆されており、今後の検討課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
年度後半での内定にもかかわらず、十分量のゲノムデータが取得できた。また、スーパーコンピュータを活用することにより、Tbオーダーのデータ量であるにもかかわらずデータ処理が行われており、年度内に検証実験まで行うことができた。また、仔細胞中での両親由来別の遺伝子発現プロファイリングについては、当初の予想以上の成果が上がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに進める予定であるが、単細胞の分離とRNA, DNA抽出を細胞ごとに行える装置が実用化されたため、この利用についても検討を加えたい。
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