2014 Fiscal Year Annual Research Report
GWASを用いた野生イネの生育、代謝形質と遺伝変異の相関解析
Project/Area Number |
25252005
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
倉田 のり 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (90178088)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 貴彦 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助教 (00370148)
平井 優美 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (90415274)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アソシエーション解析 / 野生イネ遺伝資源 / メタボローム解析 / GWAS |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は、研究計画に基づいて研究を実施し、以下の実績を得た。 (1)H26年度に栽培可能となった約380系統のO.rufipogonを系統毎に5個体育成し、全系統についての5種類の形質調査(葯形質、稔性、再生能力(一年生/多年生)、出穂期など)を行い、系統毎の形質特性の2年度目の計測データを得た。 (2)代謝産物解析においては、他の植物系統群で、年次変動がかなり激しいことが分かりつつあった。そこで、計画したO.rufipogon系統の反復実験と共に、より安定した系統での責任領域(遺伝子)の検定を試みた。すでに系統群のゲノム情報解析の終了していた161系統のBIL(O.rufipogon x O. sativa のback-crossed inbred lines)における代謝産物の解析とを平行して行なう事とし、理研においてLC-MS(液体クロマトグラフ質量分析)を行った。計画変更に伴う種子輸入の手続きが遅れたことにより、経費繰り越しが必要となった。 (3)これまで収集した2年度分の形質情報を用いて、アソシエーション解析を試行した。いくつかの異なる手法も試みているが、年度間で共通するピークを見つける事は簡単ではない。O.rufipogonの集団構造として分かれる3つのグループ別にピークの検出と年次間の比較も行なっており、グループ内では責任領域(遺伝子)の共通ピークを検出できる例が多いようである。しかし、詳細は3年次目の結果を待っての検定が必要と思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
事前の海南島における栽培から、多様な変異を持つ多くの野生イネ系統で出穂をなるべく揃えかつ栽培期間を短縮するためには、秋作が最適であることがわかっていた。それでも収穫が大きく遅れた系統があり、初年度に続いて種子収穫、調査、整理などが大きく3年度目にずれ込んだものもある。また、利用種子の追加や輸入手続きのステップに時間を要してメタボローム解析への種子供給が大幅に遅れたこと、解析装置の故障による遅延などが重なり、解析が年度をまたぐ結果となった。 装置の保守、海外とのやり取り等の影響で都合半年以上の遅れとなったが、データ取得については、実績概要に述べた通り,計画した実績を得ている。ただし、解析の結果に関しては、予想以上に複雑かつ特定の遺伝子を検出するのは困難と思われ、変異幅の広い自然集団を扱う場合の実績の内容は、様々な工夫や計画段階での注意が必要であると思われる。結果は予想とは異なるが、当初計画の2年次目の計画内容は、作業としてはほぼすべて終えている。 結果は予想よりも複雑で、予定外ではあったが、3年次目の結果との比較を待って、解析の結論を出したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
H28年度においては、繰り越ししたH27年度の本課題の推進を基本とし、以下の予定で行なう。 (1)400系統の野生イネ、全系統の5形質および100以上の代謝産物の調査項目に従い、系統毎の形質特性の第3回目の計測データを解析する。 (2)3回分すべての形質および代謝産物情報を用いて相関解析を行い、調査した全形質の制御に関わる遺伝子座すべてをアソシエーション解析により検出・マップする。統計処理条件の検討、候補領域の遺伝子機能等の検討を行った後、候補遺伝子を列挙する。候補遺伝子の遺伝子型(ハプロタイプ)解析等を組み合わせ、遺伝子特定を行なう。 (3)161の戻し交雑自殖系統(BIL)で行なった代謝産物の検出結果をもとに、O. rufipogon と O. sativa の間のQTL ピーク検定を行い、全系統について、GWAS ピークとの比較検討を行う。これらの結果を用いて、可能な全代謝産物を特定し、それぞれの代謝産物生産に関与する遺伝子群のマッピングを行う。 (4)これらの結果を論文として取りまとめ、公表する。
|
Research Products
(5 results)
-
-
[Presentation] DNA Polymorphism Database from New-Generation Sequence Read Archive and Analytical Workflow2015
Author(s)
Mochizuki, T., Tanizawa, Y., Fujisawa, T., Nikoh, N., Toyoda, A., Fujiyama, A., Kurata, N., Nagasaki, H., Shimizu, T., Kaminuma, E., Nakamura, Y.
Organizer
Plant & Animal Genome XXⅢ
Place of Presentation
San Diego(USA)
Year and Date
2015-01-14
Int'l Joint Research
-
[Presentation] Consideration of O. rufipogon Diversity with a SNP Database2015
Author(s)
Ohyanagi, H., Ebata, T., Huang X., Gong, H., Fujita, M., Toyoda, A., Fujiyama, A., Wang ZX., Han, B., Yamazaki, Y., Kurata, N.
Organizer
Plant & Animal Genome XXⅢ
Place of Presentation
San Diego(USA)
Year and Date
2015-01-12
Int'l Joint Research
-
-