2013 Fiscal Year Annual Research Report
渓畔林ネットワーク整備を基軸とした集水域森林管理手法の開発
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25252029
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 教授 (00231150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光田 靖 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30414494)
崎尾 均 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20449325)
高木 正博 宮崎大学, 農学部, 准教授 (70315357)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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Keywords | 持続的森林管理 / ゾーニング / 生態系サービス / 生物多様性 / 渓畔林 / 保護樹帯 / 地位 / 表土保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
小課題1.林地ポテンシャル評価:これまでの成果に基づいて地域レベル、集水域レベルおよび渓畔域の区間レベルで林地ポテンシャルの評価を実施して、森林の最適再配置のプロトタイプモデルを構築し、対象スケールと基盤データ精度の整合ならびに森林計画制度とゾーニングの整合性など、改善すべき点の抽出を行った。 小課題2.渓畔林ネットワークおよび尾根バッファの機能評価:既設の渓畔林試験地(田野、去川国有林、秩父)で動態モニタリングを行うとともに、尾根保護樹帯に隣接するヒノキ林に表土侵食の試験地を設定して観測を開始し、林縁からの距離および斜面傾斜がヒノキ林の表土移動量と密接に関連することを見出した。土砂・物質流入観測試験地として常緑広葉樹壮齢林および針葉樹若齢林の流域を設定し水質観測を開始した。 小課題3.モザイク林相の生物多様性評価:Additive Partitioning法を適用して、集水域全体の予備分析を行い、渓畔林再生のための人工林伐採にともなうモザイク形成が植物種多様性に与える影響を予備的に分析した。また、追加調査が必要な要素として、渓畔域における落葉樹の成立環境の把握が抽出された。さらに、渓畔林の植生についてシカ食害および大規模出水の影響を評価した。 小課題4.最適集水域森林管理デザイン手法の構築: 宮崎大学田野演習林の照葉樹林集水域、および城山国有林において、Additive Partitioning法を適用するためのベースマップを作成した。 小課題5.施業オプションの提示:既設の小面積伐採試験地のモニタリングを行い、再生植生の多様性に応じた保育省力化を検討した。また、集水域内に渓畔林を保残した小面積伐採の試験地を設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に雇用予定の研究協力者を本人の事情で雇用できず、一部の計画(AP予備解析・マップ作成および新規試験地設定)に遅れが生じたが、この部分を平成26年に繰り越して実施したことにより、当初予定の研究計画をほぼ実施することができた。とくに基盤データとなる林地ポテンシャル評価手法(小課題1)については、「点の評価」としてほぼ完成しており、今後、小課題2(バッファの機能評価)を組み込む準備が整った。また、機能評価のための試験地データも着実に蓄積されてきており、AP法を用いた多様性評価手法についても、モザイク伐採の効果を植物の機能タイプ別に評価する試行を行い、その有用性が確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
小課題1.林地ポテンシャル評価:林地生産力・土砂流出評価モデルを改善し、完成させる。 小課題2.渓畔林ネットワークおよび尾根バッファの機能評価:既設の渓畔林再生試験地(田野、去川国有林、秩父)で動態モニタリングを継続する。また、土砂・物質流入観測試験地を継続する。 小課題3.モザイク林相の生物多様性評価:植生・地表徘徊性動物・鳥類・哺乳類の追加調査を行い、Additive Partitioning法で分析する。 小課題4.最適集水域森林管理デザイン手法の構築:九州大学宮崎演習林のモミ・ツガ・落葉広葉樹混交林について、Additive Partitioningのためのベースマップを作成する。また、林地ポテンシャル評価とAPを組み合わせた管理単位を区画する手法の検討を行う。 小課題5.施業オプションの提示:小面積伐採試験地のモニタリングを継続する。とくに、森林施業時の下層僕保残の表土保全効果について明らかにする。
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Research Products
(15 results)