2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集技術を利用した極限的乾燥耐性遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
25252060
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
黄川田 隆洋 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫機能研究開発ユニット, 主任研究員 (60414900)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 卓 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90244102)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ゲノム編集 / 乾燥耐性 / 昆虫 / バイオテクノロジー / オーミクス |
Research Abstract |
本研究の目的は、ネムリユスリカの乾燥無代謝休眠に決定的な役割を果たしていると考えられる原因遺伝子を含めた遺伝子ネットワークを同定した上で、その分子的背景を利用した乾燥感受性細胞の乾燥保存法の確立を目指すことにある。具体的には、人工的に作製した塩基配列認識型ヌクレアーゼを用いてゲノム上の標的遺伝子破壊やレポーター遺伝子の挿入などを可能にする技術である「ゲノム編集」を利用して、ネムリユスリカ培養細胞の乾燥耐性能を破壊することで、乾燥無代謝休眠の原因遺伝子を特定する。 当初、ゲノム編集技術としてTALENを利用する予定であったが、ネムリユスリカ培養細胞(Pv11細胞)での発現が認められず、よりシステムが簡易なCRISPR/Casに変更する決断を行った。CRISPR/Casシステムは人工的に設計したDNAを細胞に導入し、任意のタンパク質(Cas9)やRNA(guide RNA)を作らせることで作動するシステムである。元来原核生物で作動する生体防御システムを応用しているため、実験対象となる生物種のCodon usageやプロモーターを考慮したシステムの構築が必要となる。まず、ネムリユスリカのCodon usage に合わせたCas9をコードする人工遺伝子の構築を行った。さらに、Cas9とguide RNAを発現させるためのタンパク質発現プロモーター (Pol II) 領域と、RNA発現プロモーター (Pol III) 領域をネムリユスリカゲノムから単離した。これらプロモーターを用いた結果、Pv11細胞でCas9タンパク質とguideRNAの発現に成功した。この成果を踏まえ、一つのベクターでCas9とguideRNAを同時に発現可能なネムリユスリカ用All-in-One CRISPRベクターの構築も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Pv11細胞で十分な発現が認められなかったTALENシステムの代わりとして、実効性のあるCRISPR/Casシステムを構築できたことはよかった。しかしながら、25年度計画の一つであった、Pv11細胞のトランスクリプトームデータベースの構築が遅れている点は、直ちに対応すべき点で有ることと自覚している。26年度中にはデータベース構築を遅延なく行うよう努力する。
|
Strategy for Future Research Activity |
・ネムリユスリカ培養細胞の乾燥・再吸水時特異的に発現するトランスクリプトームデータベースの構築 乾燥耐性能獲得時に作動する遺伝子ネットワークを知るために、前培養時から乾燥中及び再吸水までの一連の過程の遺伝子発現の変動の様子をmRNA-seqを用いて調査し、トランスクリプトームデータベースを構築する。 ・Pv11細胞へのCRISPR発現ベクターの導入と乾燥耐性試験 構築済みのネムリユスリカゲノムデータベースを用いて、乾燥特異的発現を示す遺伝子上のCRISPRターゲット部位をの塩基配列を網羅的に抽出する。得られた配列情報に基づいて、乾燥特異的遺伝子破壊用のAll-in-One CRISPRベクターを構築する。CRISPR/Casシステムによって遺伝子破壊されたPv11細胞を用いて、乾燥耐性能の変化を調べる。正常なPv11細胞と比較して、著しく生存率や増殖率が低下した変異細胞株が得られた場合、機能破壊した遺伝子が乾燥耐性原因遺伝子と判断される。
|
Research Products
(18 results)
-
[Journal Article] An abundant LEA protein in the anhydrobiotic midge, PvLEA4, acts as a molecular shield by limiting growth of aggregating protein particles2013
Author(s)
Hatanaka R, Hagiwara-Komoda Y, Furuki T, Kanamori Y, Fujita M, Cornette R, Sakurai M, Okuda T, Kikawada T
-
Journal Title
Insect Biochemistry and Molecular Biology
Volume: 43
Pages: 1055-1067
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
[Presentation] Comparative genome sequencing reveals genomic signature of desiccation tolerance in the anhydrobiotic midge2014
Author(s)
Gusev O, Suetsugu Y, Cornette R, Kawashima T, Logacheva M, Kondrashov A, Penin A, Hatanaka R, Kikuta S, Shimura S, Katayose Y, Matsumoto T, Shagimardanova E, Alexeev D, Govorun V, Wisecaver J, Mikheyev A, Koyanagi R, Nishiyama T, Shigenobu S, Shibata T.F, Galygina V, Hasebe M, Okuda T, Satoh N, Kikawada T
Organizer
New Frontiers in Anhydrobiosis
Place of Presentation
ポミシェ、フランス
Year and Date
20140323-20140327
Invited
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Understanding the evolution of anhydrobiosis in the sleeping Chironomid, Polypedilum vanderplanki, by comparative genomics2013
Author(s)
Cornette R, Gusev O, Suetsugu Y, Okuda T, Kawashima T, Sato N, Nishiyama T, Hasebe M, Kikawada T
Organizer
5th International Symposium of Environmental Physiology of Ectotherms and Plants
Place of Presentation
ロンドン、カナダ
Year and Date
20130812-20130816
-
-
-